虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベント後篇 その01



 ──有名なソシャゲ五タイトルとのコラボイベント。

「『モンスター&パズル』、『アイドル・ラブ・ユー』コラボはある程度終わらせた。それに『のんびり異世界の村』は残りの二つ、『カードバトラー』と『ザ・ロード』を終わらせてからの方がいいか」

 すでに二タイトルで集めるべきアイテムは集めてあるので、残りのタイトルは三つ。
 各タイトルでも、内部でイベントが行われているのでその問題だ。

「『イセ村』は草むしりを……俺が入らないとダメなんだな?」

《はい。旦那様が入村していない場合、飛ばしていたドローンが機能しません》

「なら予定通り、最初はイセ村で草むしりをしてからか……それから、どっちをやってみようか」

《『ザ・ロード』がよろしいのでは? カードの内容が未定な『カードバトラー』より、明確なゴールがありますので》

 乗り物試乗ゲームなのだが、前回は一通り乗るだけだった。
 今回はそうではなく、アイテムを集めるべく『SEBAS』に任せる予定だ。

「よし、なら『ザ・ロード』からだな。目指せ、プラモデルだな」

 試乗一回でフィギュア、そして一定距離の乗車成功でプラモデルが手に入る。
 更に上もあるらしいが……そちらは、獲得者が限られるランキング制だ。

 走行距離や運転の安全さなど、さまざまな要項で決まるランキング。
 先ほど[掲示板]を見たが、丸一日やり続けている者も居るぐらいだ。

 ただ、そちらの景品はラジコンだったり実物大のフィギュアなので無くても良い。
 ……フィギュアとプラモデルを解析してみれば、自作できそうな気がするからな。

「前回はEHO版だけだったしな。リアルの乗り物なら、結界無しでもイケ……るわけないか、それは無理だな」

 現代と技術が機械系の分野で進んでいないEHOの世界とでは、乗り物に関する分野での配慮が違っている……うん、乗り心地が全然違うのだ。

 EHO版で馬車だったり、凄い物ではドラゴンに乗ったりしたが……どれも振動で俺はスリップダメージを受け、一定距離で強制退場になっていた。

 もしかしたら、現代の乗り物の乗り心地であればどうにか生きていられるかと思ってはみたが……自分の虚弱さを別の意味で信じているので、もう諦めている。

「それじゃあ『SEBAS』、頼んだぞ」

《畏まりました。昨日の間に、乗り物に関するデータは収集済みです》

「ドライブテクニック……俺、無いから助かるよ。安全運転だけなら、まあできなくは無いんだけどさ」

 なお、ドラゴンへの試乗など、EHO版での乗り物は最初から諦めていた。
 ──そんなこんなで、『ザ・ロード』のアイテム集めを始めるのだった。


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