虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
職業相談 その18
イベント世界 エルフの隠れ里
世界樹内部の神殿で祈りを捧げ、あることについて「よきにはからえ」と創造神様からお言葉を賜った。
そんな俺が向かったのは、これまた巨大な樹木が生えるエルフの住まう里。
さっそく要件を済ませるため、まずは里長たちの住まう場所へ。
俺が来ることにもかなり慣れた人々は、温和に挨拶をしてくる。
……中にはとある依頼もあったが、それは後日にしてもらったよ。
「──君が急に来るとは、何かあったみたいだね」
「はい、精霊樹へ向かいたいのです」
「……ふむ。なるほど、君にも事情があるのだろう。すまないが、聞かせてもらってもいいかな?」
「問題ありませんよ」
そうして説明するのは、創造神様から得た許しについて。
元より、一番最初に訪れた際に起きたアレこれについては里長も知っている。
「……そうかい、精霊神様もお喜びになるだろうね」
「ええ、そうであると良いのですが」
「事情は理解した。早急に精霊樹へ向かった方が良さそうだね」
改めて説明しよう。
精霊樹とは、精霊が生まれやすい樹だ。
……説明がザックリし過ぎなのだが、要は世界樹の劣化版&精霊特化版である。
だがここの精霊樹は、ある理由で世界樹を上回る精霊関係の性能があった。
だからこそ、俺は精霊樹であってもここに来たわけだな。
◆ □ ◆ □ ◆
訪れた精霊樹では、精霊が活発に生まれていた。
……だがそれは、かつて訪れたときと比べてもおかしいと思えるほどの量だ。
「これは……そうか、君を歓迎しているということなんだね」
「そうであれば、良いのですがね」
「これ以上は私でも無理だ。死なない……のは無理かもしれないが、君にとって良い結果があらんことを」
無理難題を押し付けられることなく、里長はこの場を去っていった。
残されたのは俺だけ……さて、あとは精霊樹の中に入るだけだ。
「『SEBAS』、居ると思うか?」
《間違いなく、確実に待機しております》
「だろうな。じゃあ、準備しようか」
取り出すのは小さな指輪。
特殊な言語──精霊語の文字が刻まれた、ある意味神授の代物である。
かつて貢献イベントで手に入れ、そして仙人の山で行使したアイテム。
……俺に加護を与えることができなかった精霊神が、その代わりとして与えた物だ。
「精霊神様にアイスプル世界と精霊界の繋いでもらい、精霊たちが活発に生まれることができる世界に……それなら、【精霊士】の成長も見込めるだろう」
そう、すべてはアイスプル世界と俺のために──そのためならば、神様に願うことも厭わないさ。
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