虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
職業相談 その13
新たなアイスプル産のアイテムは、惑星間で奪い合いをしかねないものでした。
宇宙樹に関する情報を聞いた俺にもたらされた、そんな報告。
神の力を宿す無数の品々、それらが今の世界樹からは果実以外にも生えているようで。
それらは:DIY:でも用意することのできない、まさに神授の品々だった。
「えっと、確認するぞ……花に葉っぱに樹液に果実、これまでも神気自体は帯びていたけども、今回の投資で具体的に神話の力を発揮し始めた。そういうことでいいんだな?」
《間違いありません》
「:DIY:……ああうん、スキルもそう教えてくれているよ。ついでに言うと、供物として最適らしいアイテムの作り方も提供してくれたから、余らせた分はそれで凌ごう」
果実は害、というか恒久的な益の無い物を除いてこっそり冒険世界に出していた。
神の果実だけでなく、さまざまなフルーツが実る場所があったからな。
今回も、いちおうは神気を内包していない素材もまた少しだけ混ざっている。
……まあそれも、霊草やら奇跡の花などと言われるようなレア中のレアなんだけども。
幸いにして、それらは神々の方で引き取ってくれるとのこと。
なんだか向こうにも考えがありそうだが、まあWinWinってことでいいだろう。
「なんだかさっきの報告でいろいろと疲れてきたな……経験値は、まだ足りないか」
これもすべては、【大富豪】の職業スキル常駐化のため。
投資をアイスプルの至る所で行っているのだが、まだ必要量には達していない。
まあ、特段常駐化が高いので致し方なくはあるのだけれど。
連打は今なお続いており、アイスプルの至る所が現在は効果のエフェクトで発光中だ。
「あとで確実に風兎に怒られるな、まあ、アイスプルに良い影響だからって見逃してもらえることを祈ろう──『SEBAS』、これ全部押したら必要量に達するか?」
《……おそらく、不可能かと。世界樹が桁違いの消費額であり、それでようやく満たせてとなりますと》
「だよなぁ。まあいいけどさ、それならそれでもう一つの方を試せばいいだけだし」
俺が今まで行っていたのは、対象に投資を行う【大富豪】の能力“選好投資”。
だがそれとは別に、正規の方法として稼いだ金銭を消耗する能力が存在した。
ただし、そちらの方は恒常的なものではなく一時的なバフ的なもの。
お金があれば誰でも最強になれる、そういう類の能力である。
あんまり期待はしていないが……もしかしたら、これの使い時があるかもしれない。
なのでとりあえず検証はしてみる、当然ボタンは継続して連打したまま。
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