虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
職業相談 その08
いろいろあって就いたのは【大富豪】。
余り余った金銭の使いどころとして選んだが、やはりただ単純に浪費する……というわけでもなさそうだ。
「じゃあ、やってみるぞ──“選好投資”」
金持ちの道楽、選んだ対象に対して金銭を注ぎ込むことができるこの能力。
闘技場で行った成功率が向上する投資、その上位版とでも言おうか。
「指定するのは──この星そのものっと……げっ!」
《いかがなさいましたか?》
「必要な額が桁外れだ。なるほど、投資先に価値があればあるほど最低投資額も上がっていくわけだな」
つまりアイスプルも、さまざまな場所との関わりを持つ中で価値を証明したわけだ。
なんだか感慨深いものを感じながら、その国家予算を軽く超える額を注ぎ込んでいく。
幸いにして、俺の持つ金はその程度ではなくならないほどに溜まっている。
もしも、金銭を経験値にできていたら……全部解放できていたかもしれない。
なんてことを考えていると、突然警告らしき警報と共にUIが表示された。
同様の内容は、『SEBAS』にも伝わっているようで説明が入る。
《これは、アイスプルの権利に干渉したために発生しました。現時点では実行者が旦那様だと認識されていないため、星の防衛システムが作動し、旦那様にその旨を連絡したということです》
「……ああ、競合の心配をしたのか」
《はい。同様に、他世界で地形へ投資をした場合にもこういった警告がその地の管理者へ届けられるはずです。森獣やその地の領主など、ご使用の際にはお気を付けください》
UIを確認し、問題が無いことを確認して画面を閉じる。
……なお、拒絶という選択もあったようなので、必要な時には使わせてもらいます。
この警告は権限の保持者が、距離か時間で条件を満たしている場合にのみ届くらしい。
いつまでもその場所を放置している者を、認めてはくれないということなのだろう。
「これで認証が通った……おっと、俺だと認識できたからシステムがリンクしたな」
《以降、【大富豪】の職業スキルが発動可能な間は、金銭によるアイスプルの操作が可能となります。これはあくまで職業スキルに基づいての機能であるため、喪失なされた場合は使用不可となります》
「じゃあ、金銭で行った変化の影響は、使えなくなっただろうなるんだ?」
《地形への投資は一定期間ごとに影響を反映させるため、打ち切り時点での影響はそのままとなり、以降の反映は無効化されます。なお、投資した金銭は消滅となります》
うん、なんとしても常駐化を目指さなければいけなくなったな。
……つい先ほどのアイスプルへの投資で、すでにレベルは後半へ突入したけれども。
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