虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
職業相談 その06
ついに固有職を一つ解放しようと決めた。
超級、極級職の総称である固有職は、基本的に就く人数に制限が設けられている代わりとして、その性能がかなり高い。
実際、俺が得た【勇者】にしてもそれなりに高かった。
だからこそ、次に就くべき職業を吟味しなければならない。
「まず、就くことができる固有職は? ただし、制限人数が多いもので」
《検索します……出ました。旦那様の場合ですと【魔王】、【聖者】、【大富豪】。また制限は一人のみですが【操龍機士】、同じく【操虎機士】にも就職可能です》
「これらはもう条件を満たしているのか?」
《はい。【勇者】同様、経験値を注ぐことで解放されます》
それらは俺が[称号]の獲得と共に、就職の条件をある程度満たしていた職業たち。
当時は経験値不足、そして完全達成ではないため試練が必要という理由で諦めていた。
だが膨大な経験の中で、それらを何らかの形として満たしていたようだ。
あとは、レベル999なのに雑魚スペックなお陰で荒稼ぎした経験値で解放するのみ。
「最初の二つはなんとなく分かる。で、残りの三つの効果が分からん」
《【大富豪】は大金持ち特化の職業と言えます。大きく分けて効果は二つ、他者を利用してお金を稼ぐ能力と稼いだお金で強化を行う能力です》
「……いやまあ、偏見ではあるがたしかに大金持ちって気はする。というか、うちもそうなりかねないんだよな」
ルリがそう望めば、宝くじやら人助けのお礼やらで金銭的に価値のあるものがたくさん舞い込んでくるだろう……そのうえで、求める者に渡したらなんやかんや増えていく。
それこそ、わらしべ長者なんて目じゃないくらいのありえない展開で。
まあ、蘇生薬(を薄めた物)でかなり稼いでいるので別に就いても問題は無い。
《【操龍機士】、【操虎機士】はお察しの通り、メカドラとメカトラを運用している者が就くことのできる職業です。彼らに設けられた制限を、成長によって部分的に解放できるようになります》
「制限? ああ……そういえばそんな機構があったな。下手に弄ると危険そうだったからそのままにしたヤツ。そうか、それがここに繋がってくるのか」
俺が二機を本格的に使っていくならば、ぜひとも就いた方が良い職業だろう。
何より、これなら他者の迷惑にならないので『騎士王』に処理されなくて済む。
だから『SEBAS』も、これら二つの職業を提案したのだろう。
今言っておけば、また別の機会に願望機に遭遇したらということも考えられるし。
「じゃあ、俺が就くのは──」
こうして俺は、膨大な量の経験値と引き換えに新たな固有職を獲得するのだった。
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