虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第二回家族イベント反省会 後篇
続いては翔と[ラヴィンド]の戦いだ。
大型のドラゴンと戦った次に、小型なウサギと戦うというのは意識の切り替えに戸惑ったことだろう。
特にスピード特化なヤツだったのだが、どうにかそれを捉えた翔によって迎え撃ってのカウンター──結果として、壁にぶつかった[ラヴィンド]はそのまま退場した。
「アレ、どうやって当てたんだ?」
「うーん、いろいろと考えたんだけど……最後は勘かな?」
「うんうん、分かるわー。困ったときはえいやってやると、よく当たるわよね!」
「…………」
念のため、舞の方を確認してみるが、そちらは首を横に振っている。
うん、普通はそういうことは起きない……舞の運の良さはあくまで別方向なだけだが。
映像の方も、ここからが本番。
ついに対人戦──舞と瑠璃の対決だ。
「お父さん、お母さんが相手じゃやっぱりアレだけじゃ足りなかったと思うんだけど」
「聖天狼とえっと……闇黒熊だっけ? あの二体だけで、大半の相手は楽勝だけどな。瑠璃相手じゃ、全然だったけど」
「まあ、酷いわ。私だって必死に頑張ったのに……」
その割には、障壁を張っているだけでほぼ勝っていた気もするがな。
映像の中では、障壁をどうにか砕いても光の鎖で縛られてしまった舞の姿が。
「お母さんにはまだまだ敵わないってことよね。でも、次は絶対に負けないんだから」
「ふふっ、いつでもかかってきなさい……たとえ私を倒しても、第二第三の私が──」
「俺にとっての瑠璃はお前だけだぞ」
「アナタ!」
突然ひしっと抱き合う俺と瑠璃。
……瑠璃と同格の存在が数人いたら、間違いなく世界が滅ぶだろうなぁ。
さて、そんな瑠璃がついに勝ち上がってきた翔と戦うシーンが始まる。
前回同様に障壁を張っていたが、あの手この手で翔もそれを突破していく。
「本当に凄いわよ、翔。アレだけのことができるなら、神殺しだって夢じゃないわ!」
「……ってことは、母さんのアレは普通の神様以上なんだ」
「…………ナンノコトカシラ?」
まあ、瑠璃への信仰度はかなりのものだからな、並大抵の神と純粋な信仰度合いだけを比べれば勝てるだろう。
それこそ、主神クラスでもないと……映像内の瑠璃が翔に粘り勝ちした際、放たれていた神威はかなりのものだったしな。
つまり、それだけ追い詰めていたわけだ。
「──はい、ここで映像は終わりだ。みんなご視聴、ありがとうございました」
『えー!』
「えー、じゃありません。『SEBAS』、プロジェクターを下げておいてくれ」
《畏まりました》
「ふー、それじゃあ各々解散するように。俺は……うん、ちょっとお花を摘みに」
そうして部屋を去った俺。
──だからこそ、三人が顔を見合わせてニヤリとしていることに気づかなかった。
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