虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第二回家族イベント後篇 その01



 マイを完封し、ルリが決勝へ進んだ翌日。
 初日同様、花火が宙に打ち上げられて本日のイベント開催を告げる。

≪さぁ、ついにこの日がやってきました。このバトルイベントも、いよいよあと一試合となっております!≫

 たった七度の試合で決まる、今大会における最強……景品を用意しているわけでは無いが、『超越種スペリオルシリーズ』や『災凶種ディザスターシリーズ』にもその強さが認められるというのは栄誉だろう。

≪それでは、決勝まで勝ち進んだ二人を紹介しましょう──まずは赤コーナー!≫

 これまでよりも演出は派手に、転送陣にもわざわざ色を付けてある。
 赤色の転送陣が光り輝くと、巨大な剣がその中から一本空に打ち上がった。

 それが宙で炸裂し、何本にも分かれて地面に突き刺さる。
 そして、剣がまた異なる模様の転送陣を描くと──ついに、ショウが現れた。

≪もうこの世界の中で、認めない者は誰も居ないでしょう。彼こそが、この世界における星剣の担い手。そして今、彼は挑む──現人神へと剣を向け。力を示せ、剣で切り開くのは自身の勝利──ショォオオオオウ!!≫

 そのタイミングで紹介文を叫ぶ。
 演出の剣は一ヶ所に集い、その場所──星剣に収束していく。

 ショウも空気を読んで、鞘に仕舞っていたその剣身を引き抜いた。
 するとどうだろう、剣は眩い光を放ち、会場中を照らしていく。

≪そして、対するは青コーナー!≫

 今度は青色の転送陣が出現。
 そこから巨大な光の柱が生まれると、空は透き通るほどの青色に。

 そして、青色が一ヶ所に集まると、転送陣が新たに描かれる。
 その中から現れるのは──神々しい光を放つ、一人の現人神。

≪神は触れられざる存在、人の身でありながら彼女はそれを証明した。ゆえに現人神、捧げられた祈りの数だけ彼女は強くなる。今一度、その御業をここに示そう、すべては戦いに勝利するため──ルリィイイイイイイ!≫

 ルリもまた、俺の演出に合わせてポーズを取ってくれた。
 彼女が胸の辺りで祈りの構えを取ると、自身の力で眩い輝きを放つ。

 そして、青い光がスポットライトのように彼女を包み込むと、光が泡と化す。
 シャボン玉のように光が空へ舞い、宙で弾け──キラキラと輝きが降り注いでいった。

≪さぁ、ショウ選手とルリ選手による決勝戦が間もなく始まります。果たして勝つのは剣星か、現人神か……その答えは、自身の眼で確かめろ! …………なお、決勝に限り、さすがに時間切れでは困るので無制限です≫

 なんて振りをしてから、いつも通りカウントダウンをスタート。
 0になったその瞬間──二色の輝きが舞台上で衝突した。


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