虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第二回家族イベント前篇 その19
聖獣である聖天狼が竦むほど、神々しい存在としての力を放つルリ。
その力の一端は、支援によって強化された多くの従魔による攻撃をすべて無効化する。
≪さすがに、初戦で行った無敵化のバフを用いれば、攻撃は通るでしょうが……ルリ選手もそれは承知しているでしょう≫
問題は、無敵になったとして結界を破壊できるかどうか。
神気をわざわざ聖気にしても壊せない現状なのだ、神気にすれば難易度は向上する。
そして、たとえ結界を破壊しても、それが直接マイの勝利には繋がらない。
勝つためには、ルリの体力を削り切るか舞台から落とす必要がある。
≪しかし、ルリ選手はいちおう……と称していいか分かりませんが、【開祖】という回復職に就いています。その回復量は、おそらく魔物たちの総攻撃を受けても削り切れないほどでしょう≫
ルリの職業は、自身の始めた宗教が信仰されればされるほど、差は有れど全般的に身・能力値が成長していく。
そして、そのうえで光・聖・回復系統の魔法の性能を高めることができる。
部位欠損の回復、超広範囲の回復、そして死者の蘇生──それらも簡単に行うだろう。
マイもそれは理解している。
たとえ攻撃しても回復されれば意味は無いうえ、ルリが絶対に反撃してこないという保障など存在しない。
三つの属性の魔法に補正が入るが、回復や防御に限定されているわけではない……攻撃に転ずれば、その強過ぎる力が猛威を振るうことになるのだ。
≪ここでマイ選手……聖天狼のウルさんを残して他の従魔たちを総入れ替えだ。次に出てくるのは──なななんと、聖天狼に負けず劣らずの巨体を誇る真っ黒な熊です!≫
《闇黒熊──おそらくは魔獣でしょう。それも王の個体、かなり強力ですね》
≪ルリ選手の圧にも負けず、その場に登場したぞ! これは……もしかすると、もしかするのか!?≫
初戦ではできなかった、超強力な個体の二体同時使役。
魔獣の王──つまりは魔王でもあるその熊は、マイの支配下に居た。
相反する存在で在ろうとも、同時に使役することができる。
それもまた、【調律姫】であるマイの能力の一端なのかもしれない。
≪無敵化は使っておりませんが、マイ選手二体の従魔にかなりのバフを載せて──攻撃を宣言! 自身も武器を手に、ルリ選手の下へ駆け抜けます!≫
《使役した従魔の恩恵、その一部にあやかれる能力を持っているようですね。従魔が強力な分、マイ選手もかなりのステータスを得ています》
ルリはそんな光景を見ても、あらあらと微笑むのみ。
そして、三位一体の攻撃が行われ──
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