虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第二回家族イベント準備 その03
冒険世界 始まりの街 生産ギルド
当初の予定では、いつもの場所で串焼きでも食べているはずだった。
アイスプルでやることは『SEBAS』や風兎に任せてあるので、俺はこちら担当だ。
始まりの街の生産ギルド、普段から大量のポーションを提出している場所。
今回、『プログレス』の[メール]機能を用いて、そんな場所への呼び出しがあった。
「いつも通り、提出ご苦労様。でもあれ、量が多かったよね?」
「ええ、ちゃんと理由がありまして。ちょうどいいです、こちらでもお伝えします」
生産ギルドで俺を迎え入れたのは、年齢不詳性別不明な子供(仮)ギルド長。
呼び出された理由は不明なのだが、俺からも話はあったのでちょうど良かった。
「こちらからお伝えしましょう。実は、しばらく連絡の取れない期間ができます。その分のポーションを、予め提出しに来ました」
「…………あー、そういえば前にもそういう期間があったね。たしか、家族サービスなんだっけ?」
「ええ。もちろん、契約違反とは言わずともあまり好ましく行いではないことは、重々承知しておりますよ──さて、ギルド長の話をお聞きしましょう」
「あ、あのさ、この流れで言うって、物凄く嫌な奴みたいじゃない!?」
うん、似たようなものだよな。
でもさ、前回同じようにお呼び出された時は特級会員と会うことになったし、全然いいことが無い気がするんだよ。
「こ、こほんっ。ツクル君、闘技大会で大活躍したんだよね?」
「……それ、いつまで引っ張っているんですか?」
「それだけのことを君がしたからだよ。ほらほら、例の杖とかね」
「ああ、[ドラグライズ]ですか」
ユニーク種の遺骸を使い、創り上げた文字通り世界に一つだけの代物だ。
基本的に、ユニーク種の特典は装備としてドロップするが、素材として出る時もある。
それは近くに頼れる職人が居る、あるいは素材という形が好ましい場合が多い。
……だからだろうか、俺が『SEBAS』経由で得る特典は全部素材なんだよな。
「まさか、私に──」
「いやいや、さすがにね。ぼくもちゃんと止めた方がいいって言ったんだけど……上からの指示には逆らえないんだよ」
「って、断れてないじゃないですか。私の利点、何かありますか?」
「うーん………………名誉かな?」
うわぁ、全然嬉しくない。
しかしまあ、無理難題をクリアすれば相応に恩は売れる、その点だけは無理難題を用意している今の俺からすれば非常に助かる。
──仕方ない、話はちゃんと聞こうか。
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