虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
探索イベント後日談 その10
新たに虎型の願望機──メカトラをアイスプルの仲間として迎え入れ、その歓迎会を住民たちと行った。
──後日談の後日談、とでも言おうか。
そんな新人……もとい新機のメカトラは、現在エンキと仲良くしている。
楽しそうなその姿を、俺──そして風兎はジッと眺めていた。
「……なあ、風兎。お前、何か叶えたい願いはあるか?」
『それは、ヤツの力の話か。ならば、私が願うものは……そうだな、民たちが悪意に害されることの無い生活ができることか』
「てっきり、安寧とかっていうと思ったんだがな」
『私がどう思うと、民たちは魔物だ。どれだけ知恵を持とうと、本能的な部分が戦いを求めているだろう。現に、今や超越種や災凶種なのだからな』
願望機は願われたものを叶えてくれる。
ただしそのやり方が、当人が望んだ通りなのかどうかは別として。
種族レベルカンスト特典の鑑定情報拡張によって、ある知識を俺は知っている。
それは願望機が、かつてこの世界を蹂躙した惨劇だった。
「うちにはメカドラとメカトラ、二機が居るわけだが。どっちもその願いはまだ使っていないわけだし。やり方によっては、世界の覇者にもなれるだろうよ」
『……お前がすでにすべてを支配している世界なのだから、わざわざ願わずとも叶えているだろう』
「いやまあ、そうだけども。冒険世界は……無理だな、メカドラとメカトラに頼んでも、勝てるビジョンが浮かばない」
実際、当時の願望機を止めようとした者の中には、『騎士王』が含まれている。
当代には及ばずとも、やはりいつの時代であっても『騎士王』は最強だったようだ。
「『プログレス』の改良に、メカトラ固有のシステムを組み込むぐらいかな……しかし、全部の機体を集めるとどうなるんだ? 全個体の固有システムを組み込めたら、更なる発展はできそうだけども」
メカドラ、そしてメカトラで同じ願望機であっても違う部分が存在していた。
今回、メカトラが広域探知を行えたのと同様、願いとは別で固有の機構を持っている。
「メカドラもメカトラも、その辺は補助系だが。そうじゃない機体もあるかもしれない。世界は広い……というか多い。稼働している機体やその使い手の中には、アイツらを奪おうとする者もいるかもしれない」
『そうなれば、どうするのだ?』
「決まっているだろ。俺も、エンキも、住民たちも。仲間なんだからアイツらを守るさ。風兎、そのときは協力してくれよ」
『……民が動くのであれば、私も動こう』
ツンデレな風兎はそう言うが、ほぼ間違いなく森の魔物たちも動くので、彼が動くのもまた必然だ……うん、準備は徹底的にな。
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