虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
探索イベント その15
改めて、エクリのハイスペックっぷりを確認してから目的遂行。
ターゲットはジンリの手下を含む、俺とエクリの情報を狙う連中だ。
「さて、俺のスペックでも使えるエクリの能力は…………これかな──“人霊切替”」
『!?』
俺を突然見失い、彼らは大慌てで俺を探す羽目になった。
施設の陰を利用して隠れた俺は、そんな彼らの様子を窺う。
エクリの核となった素材、『黒淵穴亡抽核遺骸[エクリエン・ドール]』はいちおうだが精霊が基となったユニーク種だった。
だからだろう、人の姿をしたエクリだが精霊としての性質も有している。
それを体現するスキルこそ、そのどちらにも性質を変更可能な“人霊切替”なのだ。
精霊という存在は、特殊なスキルや高い適性を持たない限り認識できない。
そのため、どれだけ探知能力を高めていても条件を満たしていても見れなくなる。
「……はずなんだが、視れるヤツがあの中に居たのか」
精霊体になった俺を見つけるのは困難なはずだが、『SEBAS』が飛ばしたドローンが的確に指示をしている休人を発見。
彼によって他の連中も動き、確実に俺との距離を詰めつつある。
《どうやら、精霊も探知対象に含めた探知系の『プログレス』を保有しているようです》
「だろうな。最初からそうだったのか、後天的にそうなったのかは気になるところではあるが……今は対処に専念しないと。ただ、まだこっちが気づいているって、完全には判断していないはずだよな?」
《そうですね。切り替えと隠れただけでは、まだそう判断するはずです。行動に移されるのであれば、一度で決めるべきです》
「了解だ。とりあえず、あの精霊が見れる彼から殺ろうか──“千変宝珠”」
最近は俺といえば、な感じがしなくもない何にでもなれる魔力の塊を展開。
形状は『SEBAS』が弾丸にして、そのまま射出までアシストしてくれた。
『ッ!』
「チッ……やっぱりか。じゃあ、やっぱりこれだな──“万闇統一”」
弾丸は感知され、あっさり躱された。
だが、それは二段構え……予め属性の設定付けが済まされた魔力は、俺の発動した能力に従い近くに居た男を拘束する。
能力の通り、あらゆる闇を支配するというとんでも効果だ。
今回は闇属性の魔力で、逃げられないようにしたわけだな。
「おっと、早くしないと救援が来るな──やれ、『SEBAS』」
《畏まりました》
拘束ができるのだから、同じようなやり方で攻撃ができないわけがない。
直接相対することも無く、唯一の観測者が退場するのだった。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
49989
-
-
39
-
-
23252
-
-
0
-
-
3427
-
-
89
-
-
17
-
-
4405
-
-
111
コメント