虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
探索イベント その13
イベントエリア 攻速の間:初級
タイムアタックを行うための部屋は、先ほどまで居た『不思議な家:初級』とまったく同じ構造をしていた。
やることは同じなのだろう。
ただ一つ違うのは、頭上に浮かぶ数字のカウントが減っておらず、ゼロのまま微動だにしていない点だろうか。
そして、代わりに俺の網膜に表示されている『スタート』という文字。
どうやら念入りな準備をしてから、即座に開始できるようにしてくれていたようだ。
先ほどまで、余裕そうにエクリと連絡をしていたのはそのため。
ここもここで、割と休憩スポットとして利用できそうである。
「まあ、いつまでもこうしていると何があるか分からないし……ドローンを頼む」
《畏まりました──ドローンを展開します》
せっかくなので、どれほどのタイムで攻略できるのかを試してみることに。
俺自身のスタート地点は弄れないようなので、ドローンを出すだけに留める。
ドローンも動くことができず、ただ宙を漂うだけ……しかし、カメラは動くらしい。
《前回と配置に差異を確認しました。やはり前回とまったく同じ手順では、攻略はできないようです》
「うーん、まあそれでもいい。初見……じゃないけども、一度目でどれくらいのタイムを出せるか気になる。前回、ゆっくりしていたアレでどれくらいなんだ?」
《前回のタイムは五分二十三秒です》
「割と時間が経っていたのか……それをどれだけ短くできるか、それで充分だ」
そして、そのまま『スタート』を押す。
カウントが始まるのと同時に、俺の動きを制限していた何かが失われる。
ドローンもまた、『SEBAS』の遠隔操作を受けて行動を開始。
前回怪しいと決めていたであろう部分を、徹底的に探していく。
「じゃあ俺は、例の部屋に──」
《旦那様、鍵を発見しました》
「……は、早いな」
《すぐにそちらへお持ちします》
宣言通り、ドローンが鍵を持ってきたので俺が鍵を解錠。
扉を開けると再びドローンが飛んできて、中を物色していく。
「……」
《鍵を発見しました》
「そっか……よし、行こうか」
移動は普通に歩き。
急げばいいのだが、どうせなら更なる時間省略の余地を残しておきたかった。
そして、ドアの前に辿り着いたところで、鍵を差し込んで回し──解錠。
ドアノブを捻り、扉を開いて……カウントが停止する。
「タイムは……二分四十秒。うん、きっちり半分か」
《おめでとうございます》
「おっ、三分を切るとご褒美にポイントが増えるみたいだな。よしよし、来て良かったなここに」
さて、エクリの方はどうなったかな?
しばらくは扉から離れて、様子を窺ってみようか。
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