虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
探索イベント その07
イベント世界 チュートリアルの間
新たなエリアを解放した後、初級エリアに殺到する休人を見ながらチュートリアル用の部屋へ戻ってきた。
「ところで、初級になると部屋はどういう仕様になるんだ?」
《単純に部屋が拡張されるだけでなく、部屋の数も増えます。タクマ様のお言葉を借りるのであれば、小屋サイズから一軒家サイズの規模で脱出を行うことになります》
俺から『SEBAS』に伝えていたが、そういえばそんなたとえをしていたな。
チュートリアル用の部屋もほどほどに広いが、一軒家サイズはどれほどなんだろう。
「なるほどな……じゃあ、もう一つ。なんだか俺の解放したエリアって、ゲームで言うところのフリークエストとか周回用エリアみたいなんだが、それって上級にも同じ名称で存在するのか?」
《確認します……[掲示板]に、『鍵が多すぎる』、『自作ピッキングとか激難』などと挙がっております。そして、『メインより極悪な気がする』といったスレもあります》
「メイン? ああ、たしかに俺の得た鍵とは違う感じの名前のエリアが一つ載ってたな」
たしか、『不思議な家:初級』だったな。
俺は選ばなかったが、なんだかいかにもみたいな枠に囲まれていた気がする。
《一つ上の階級を利用するためには、旦那様も見た『不思議な○:○級』をクリアする必要があります。もちろん、前提として初級のエリアをいくつか攻略しなければ、メインエリア以外は開放されませんが》
「じゃあ、メイン以外の場所をやる意味は、一番最初のヤツ以外無いのか?」
《そんなことはございません。メインエリアに挑むための条件、その中には一定数のサブエリアのクリアが含まれます。そしてクリア数と難易度に応じて、最後に景品と交換するためのポイントが手に入ります》
「そこはいつも通りだな……まっ、開放をすればそれだけでポイントは多めに貰えるみたいだし。そろそろまた試しますか」
まあ、別に新しいエリアを解放することに固執しているわけじゃない。
チュートリアル用の部屋には、まだまだギミックが隠されている。
ただそれは、引き出しの中に隠された鍵を見つけるよりも難易度が高い。
俺が二つ見つけだし、そこに気づいた者もいるだろうが……それでも発見は困難だ。
「もう少し情報が欲しいな……まあ、次は少しそういうことも考えてから入ろうか」
これまでの二つと違い、以降はそこまで解放する自信はない。
すでに解放されていたエリア名と照らし合わせ、まだ未開放のモノを当てるだけだ。
……だからこそ、チュートリアルで見つけられる部屋もだいぶ減っているだろうな。
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