虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
敵討ち決闘 中篇
イベント世界 闘技場
冒険世界に現れた、俺に敵討ちをするというチャイナ服の少女ナヨ。
彼女の挑戦を受け入れ……なおかつ利用するため、俺は闘技場という場を用意した。
俺は職業【闘資家】と【商人】をセットして、今回の試合をプロデュースする。
権利は前回の優勝者ということで、舞台を一つレンタルすることでどうにかしていた。
もちろん、商業としての経験値を積むためお値段の方も勉強させてもらっており、宣伝効果がそれなりにあったのか、レベルがガンガン上昇している。
「──貴女には感謝してもし切れません。どうか、失名神話の加護が有らんことを」
「……なにそれ。まさか、それがおじい……ジーヂーを倒した秘密なの!?」
「いえいえ、そのようなことはありません。彼の御仁は大変素晴らしい武闘家でした。ですが、あの場は武のみを競う場所では無かった……ただそれだけですよ」
「……分かっているみたいね。そうよ、本気が出せたらおじい……ジーヂーの方が絶対に強いんだから!」
お爺ちゃんっ子だった様子の彼女。
ビシッと指差し、高々にそう告げる。
まあ、俺もそれに異論は無いし、むしろ俺以外のすべての生命体の方が強いとちゃんと理解している──がそれでも、最後まで生き残るのは俺なんだよな。
「では、ルールを決めましょう。最後までこの場に居た方が勝ち、それだけです」
「……つまり、武技なんかも好きなように使えるのね?」
「ええ、その通りです。そして、重要なルールが一つ──私の能力、“闘資投技”を受け入れてください。これは、闘技場などでのみ使えるスキルで、賭けなどで投資された分だけ行動の成功率が向上します」
もちろん、【闘資家】のスキルなので、使えば使うだけ俺も経験値が稼げる。
そして、彼女も攻撃が上手くいくので互いにとって利の在る話だ。
「……なんでそんなものを?」
「簡単な話です──こうでもしないと、面白くありませんから」
「!」
「投資されずとも、元の成功率のままですのでご安心を。私は闘技場の主、この場に来ていただいた全てのお客様を楽しませることこそが義務……嫌ならば帰っていただいても構いません。さあ、どうしますか?」
しばらく熟考した後、彼女はそれを受け入れると宣言。
その頃には満席になっていた舞台から歓声が上がり……敵討ちはもう果たされた。
「──では、ただいまより投票ならぬ投金システムを導入します! 皆さん、勝つと思う方、応援したい方へ入金を! なお、賭けと応援は同じシステムとなっておりますが、前者は試合前までとなっており──」
入金のシステムを話しながら、目の前の少女にどうやって勝つかを考える。
……俺は今回、どれだけ儲けるかも考えないといけないからな。
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