虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖職者への道 前篇
アイスプル
神様云々の面倒事を終え、無事にアインヒルドと契約しました。
まあ、彼女には引き続きヴァルハラに居てもらうので、特に変化は無いんだけども。
「どこかに行って、アイスプルに戻って。そして時々『騎士王』と話して……俺っていつも同じことを繰り返しているな。たまには、別のことをしてみてもいいかな?」
《では、どのように?》
「と言われると弱いが……そうだな、迷宮の拡張状況はどうなっているんだ?」
アイスプルには迷宮が複数存在する。
俺専用のレベリング迷宮『進魔の修練場』と家族の要望に応えた『永久の楽園』。
そしてもう一つ。
一から『SEBAS』が構築した、表沙汰にできないアレやコレやを封印した場所──『星績の賢究所』。
当然、『孤軍破狼[シャロウ](再)』もここで誕生している。
それ以外にも、世に出せないような存在の大半がここに居るな。
「研究施設に関しては、まあいいか。そこは『SEBAS』に一任しているからな。そこ以外の情報で頼む」
《感謝致します。進捗ですが、まず『進魔の修練場』にはアンデッドに限定した迷宮を配置しました。名は『死王の聖櫃墓』です》
「名前が矛盾している気がしなくもないな。ところで、名前の理由は?」
《元より存在した『生者の遊歩道』は、種族レベルや職業レベルの全体的な向上を目的とした場所でした。ですが『死王の聖櫃墓』のコンセプトは、聖職者系に特化したレベリングを図る場所となっております》
予め設定として、アンデッドに出現する魔物を絞っているようで。
他にも聖職者系の職業の就職条件となる回復や支援も、そこでならやりやすいらしい。
本来、同一対象への施しはカウントが制限されるため、独りで磨くにはかなりの手間が掛かるらしいが……そういった問題も解決しているんだとか。
「聖職者系の職業か……“神持祈祷”もよく使っているし、磨いておいた方がいいかもしれないな」
《その方がよろしいかと。聖職者系の能力の中には、神の神威を発現できるようになる能力もございますので。また、神託の受信率も上がるので、お言葉を賜りやすくなると思いますよ》
「そりゃあいいな。プログレスはともかくとして、話してみたい神様がたくさん居るからな……チュートリアルの女神様、元気にしているかな」
明確な目的がある方が、レベリングもやりやすいだろうか……まあそうだな、いつかは直接会うことができるレベルまで、成長してみるというのも立派な目的かもな。
聖職者系の職業、それは単純に祈りを捧げるいわゆる僧侶だけじゃない。
武闘派な職業もあるし……よし、さっそくチャレンジしようか。
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