虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
異神話対戦 その06
神様に関する考察をしていたら、神様と戦うことになりました。
絶対に売れないだろうバトル物っぽいタイトルを連想しつつ、舞台へと向かう。
その姿はさながら、売られていく仔牛のよう……なのかもしれない。
まあ、その場合売りに行く前に死んでいるので行くのは土の中だろうけども。
さて、そんな俺と戦う神なのだが……一度見たヘルメス様よりかは神威が弱い。
それでも、力自体は異様にありそうだ──豪傑無双、って感じがするもん。
「初めまして、私は『生者』。冒険世界で、『超越者』を務めている者です」
「ん? ああ、よろしくな。俺は──ヘーラクレースだ」
「……ヘラクレス様、ですか」
「まあ、それでもいいぞ。それより聞いた、ヘーロースたちを相手に傷一つ負わないまま勝ったんだってな。いやー、そんな風には視えないんだが凄いなお前!」
ヘラクレス、誰もが聞いたことのあるようなメジャーな英雄の一人だろう。
特に、十二の試練などはそういった分野を齧っていれば内容も覚えているはず。
「お噂はかねがね。私の世界でも、貴方様の偉業は語り継がれていますよ」
「よしてくれよ。今じゃそれを笠に、神なんて不相応な身分になっちまったバカ野郎さ。さっきなんて、小難しい話をいつまでもタラタラ聞いててもう参っちまったよ」
「なるほど。では、此度の戦いであれば満足できるのでしょうか?」
「──さぁな、そりゃお前さん次第だ」
気さくな青年のような雰囲気は、放たれた闘気によって一瞬で掻き消される。
これこそが神、そして英雄なのだ……という風格を強く示していた。
ならば、と俺も負けじと有利な状況を作るための下準備を。
そのために必要な物を揃えるべく、事前に仕込んだコマンドワードを起動。
「『星域』──“精辰星意”」
「おっ、なんだこりゃ……面白いな」
「面白い……あの、かなりの割合で能力値が低下していると思うのですが?」
「ああ、みたいだな。けどまあ、こちとら昔から半分は神で、今じゃいちおう完全に神だからな。そういうスキルみたいなの、あんまり効かねぇんだわ」
純粋な神で無ければ、[ステータス]の理に縛られるはず。
それでもヘーラクレース──ヘラクレスは無数の偉業を成し遂げるだけの力がある。
その力を伝説として示し、そのうえで神となったのだ。
実力はそのままに、神としてシステムの軛から解放された……のかもしれないな。
「まあ、互いに準備はもう終わったんだ──それじゃあ、始めようぜ」
「ええ」
《『SEBAS』、頼むぞ》
《──畏まりました》
真っ当に挑んで、勝ち目はないからな。
どんな手を使ってでも、生き残ってやる!
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