虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
異神話対戦 その05
エインヘリヤルとヘーロースの戦いが終わり、『プログレス』が大量に売れた。
そして、どうやらこの後は神様同士で戦うらしいのだが……仄かに薫る俺参戦フラグ。
闘技場に集まる観戦者、そのほとんどが脳筋であるがゆえに雰囲気は完全に熱気だ。
相対する北欧神話とギリシア神話の神々、交流のために試合が繰り広げられる。
「ああもう、熱いね……お陰でどれだけ死んでいるのやら」
脳筋たちはそんな戦いを見て、当然歓声を上げるわけで。
それらが俺に死の因果をもたらし、強制的に体を冷静にする。
まあ、今回はヘーロースも居るので、極稀に神威付きになっているんだよな。
それが何を意味するのか……まあ、普段以上に高性能になると思ってくれ。
「しかしまあ、神様ってのは何でも規格外な力を持っているんだな」
「他ならぬ神の威、それゆえの神威です。そうあるべき、そうした幻想が神々の力の糧となります」
「ふむ……じゃあ聞いておくが、現人神とここの神様の違いって、何かあるのか?」
「……単純な答えとして、現人神の場合はステータスがあることでしょう。レベルや能力値、スキルといった概念に存在が抑えられているのです」
つまり神々はそういったものに囚われない存在、というわけか。
だが同時に、干渉ができないわけではないことも俺は知っている。
だから『プログレス』は存在するし、神々は祝福というシステムを用いていた。
星と神、時折どちらが先かと語られることもあるが……真実はどっちなんだろうな。
《旦那様、いうなれば神々は基本的に担う分野に特化した存在です。スキルレベルはカンストし、職業も最上位のモノ。そのうえで、信仰されることで強化される……といった具合です》
《……なんともまあ、チートだな》
《その分、特定分野以外では成長が見込めません。可能ではあるでしょうが、神威によるブーストは働きません。その点は、人族と同様になります》
神様の[ステータス]か。
そういえば、一度も見たことが無かったのだが、もしかしたら存在しない……あるいは人族では認識できないのかもな。
星には星の[ステータス]があったので、存在していないわけではない。
ただアレは、【救星者】だからこそ認識できたという可能性もある。
「……以降は、神の[ステータス]を可視化できるようにするのもありかもな」
「急になに不謹慎なことを言っているんですか貴方は……それよりも、出番ですよ」
「出番? あっ、試合が終わって……は?」
「頑張ってくださいね──ご主人様」
わざとらしく皮肉めいて語るのは、せめてもの嫌がらせか。
舞台で俺を待つギリシア神話の神様、その姿に俺は──ニヤリと笑うのだった。
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