虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
異神話対戦 その03
ギリシア神話の英霊たち──ヘーロースとエインヘリヤルたちと共に闘技場へ来た。
当然、流れとして戦うのだが……なぜか俺がヘーロースと戦うことに。
今回は『プログレス:バトルラーニング』で情報収集を図るため、基本的には防御優先でゆっくりやる予定だ。
「──ご指導ご鞭撻のほど、誠に感謝申し上げます」
『…………』
「……やり過ぎですよ」
アインヒルドのお小言はさておき、一通りヘーロースとの戦いも済んだ。
やはり神話大系ごと、積み重ねられてきた歴史は違っているようで。
北欧神話ではルーン文字を用いたルーン魔術だが、ギリシア神話の英霊たちはまた異なる方法で魔術を使っていた。
この辺りは『騎士王』にでも訊けば、教えてくれるかもしれない。
なんせ、何度も俺に魔術を見せてくれているからな。
そんなことを考えていると、エインヘリヤルの一人が絡んでくる。
時折『プログレス』の調子なども訊いているので、彼らとも話はするのだ。
「はっはははっ、やるな兄弟」
「誰が兄弟だ、誰が。それより、アイツらアレで全力じゃないんだろう?」
「ん? まあな、奥の手に『半神化』ってのがあるぞ」
「……なに、そのめちゃくちゃ強そうなの」
まあ、たしかにギリシア神話と言えば神の血を引く子供たちの英雄譚だけども。
なお、エインヘリヤルたちにも似たような覚醒っぽい能力があるが……それは別の話。
「まあ、俺たち同様、特別な時以外は使うことを許されてねぇって話だからな。それでもアイツら、ちゃんと本気だったろう?」
「全力じゃなかっただけ、か……まっ、あくまでこれは『挨拶』だもんな。死ぬ気で大声出すヤツはいないか」
「はっ、違ぇねぇな」
しばらくすると、アインヒルドが治癒したこともあってヘーロースたちが復活する。
さすがに蘇るヴァルハラでも、『挨拶』で殺したりはしないからな。
「うっ……」
「ああ、起きたか。それにしても、なかなかの腕だったな。さすがはギリシア神話が誇るヘーロースたちだ」
「……そういうお前こそ、『超越者』の名は伊達じゃないってことか」
「ん? 言った覚えは無かったんだが、まあアレだけ権能を見せれば普通にバレるか」
死んでも即座に蘇える能力。
それは休人たちの死に戻りを、より高性能にしたような代物。
本来在るはずのデスペナも、:DIY:を得た代償が無効化してくれる。
なので何度死んでも、俺にいっさいの悪影響はない……はずなんだよな。
ともあれ、彼らとも繋がりができた。
そして、次はエインヘリヤルとヘーロースの戦いだが……ここからが本番である。
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