虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
WITH仙王 その16
おそらく最後であろう巨大な魔物。
クリスタルカラーのビッグサイズなスケルトン、『餓晶髑髏』との戦いが始まった。
問題はそんな巨体通りの肉体強度に加え、水晶さえあれば無尽蔵に分体を生成し、回復することができる……分体も水晶の質が高いと強くなるため、厄介極まりないのだ。
「さて、俺は何をするかな……まあでも、流れが流れだし、任せてみよう。こういうときは──『インストール:フラッグフラグ』」
巨大な旗が宝石型の装置から生成され、風もない場所で靡き始める。
発現者の在り様を体現するこの御旗は、味方の支援に特化していた。
そう、俺が行うべきは支援。
これまで通り、ただ見守るだけで直接的な干渉はしないということ。
「だからこそ、こっちも支援系にしよう──“神持祈祷:ブルームセンス”」
潜在能力を目覚めさせる『プログレス』。
咲かす花によって、異なる部分を覚醒させられる支援系の能力。
なのでフラッグフラグの効果対象であり、効果自体を強化することができる。
インストールと“神持祈祷”、二つができる俺だからこその裏技だ。
「というわけだ。全員、あの巨大骸骨を討伐してくれ!」
『了解!』
仙人たちがやって来るまでに、可能な限り『餓晶髑髏』を弱らせておく。
まあ、最悪倒しちゃってもいいのだが、それはフラグになりかねないので言わない。
はっきり言って、純粋な火力だけならここに居る面々だけで充分だ。
なんせ、超越種や災凶種まで居るのだ、むしろ苦戦する方が異常である。
そんなこんなで『餓晶髑髏』はすぐに破壊される……が、迷宮内の水晶を糧に復活。
それを何度も繰り返し、延々と時間が過ぎていく。
「しかしまあ、キリが無いな……カルル」
「何?」
「アレ、使ってもらっていいか?」
「……分かった」
ミストゴーストである彼女にあることを頼むと、周囲に漂い始める霧。
中でも、彼女を中心に生み出される濃霧内部には、禍々しい気配まで現れだす。
「──【■■】」
そして、一言。
霧が『餓晶髑髏』を呑み込むと、やがてその姿は現実から消え失せる。
「ふぅ……終わったよ、ツック」
「お疲れ様。どうだ、エンキ。カルルは凄いだろう?」
「クキュッ!」
「お前も負けないように頑張らないとな……ある意味、アレが最凶なんだし」
そんな俺の言葉を聞き、自信満々に胸を張るカルル。
彼女の能力は、そういった理想の体現でもあるからな。
「──これは……」
「お疲れ様です、『闘仙』さん。すみませんが、本体の方はこちらで処理させていただきました」
「…………理由は、話さないだろうな」
「申し訳ありませんが。現状を見て、判断してください」
先行して救援に来てくれた『闘仙』には、申し訳ないことをしたものだ。
しかし、水晶の問題もあるので、早めに終わらせなければならなかったのも事実。
──かくして、とりあえずの終息を得るのだった。
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