虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
WITH仙王 その06
煉丹術は仙術に使う仙丹のエネルギーを、生産に活かすことで行う利用方法だ。
名前の似た錬金術とは似て非なるもので、あまり術式を用いないやり方でもある。
「仙丹自体が自然エネルギーの塊だからな。天然の素材と魔物の素材を混ぜたり、天然素材をより引き立てることができる……それを上手くやれば、不老不死になれるんだよな」
仙人が真の意味で『仙人』へ至るために、必要な要素は多くあるが……体内で仙丹を練れるようになるのが前提条件だ。
そして、それができるようになると、ある意味自然と一体化するので──自然が周囲にある限り、それらを糧として命が失われないようになる。
煉丹術に生みだされるアイテムには、その補助となるような物も存在した。
基本的には仙人見習いの補助だが……中には、凡人を仙人にできるモノもある。
かつて、帝国が攻めてきたのもそういったアイテムを求めてだろう。
仙人に関係なく、延命や全盛期維持みたいなアイテムも作れるみたいだからな。
「今回は、仙丹回復用のアイテムを重視で創らないとな……あと、ついでに一時的に不死になるようなヤツも」
アイテムによって仙丹を供給し、擬似的に仙人の性質を再現する。
アイテムに籠めた仙丹が尽きない限り、死ななくなるわけだな。
そうした煉丹グッズを大量に作り、複製もして一気に増やしていく。
なお、もしものときに備えて、いくつかの仕掛けを施すことも忘れない。
「──『インストール:クロノトリガー』、“神持祈祷:トラッシュクラッシュ”」
使用するのは二つの『プログレス』。
一つは時間を引き金として、さまざまな能力を後から使用できるようにするもの。
要は先に仕込んで、時間を含む条件を満たした際に設定した能力が発動するようにできる、というわけだな。
そして、もう一つは──
「アイテムの強制破壊。まあ、今は自分に所有権があるアイテム限定みたいだけど……今回はそれで充分だ」
そんな二つの『プログレス』を組み合わせることで、機密保持のために用いられる、自己崩壊プログラムの真似事ができる。
「条件は……仙人ないし仙術を扱える者以外が触れた時、だな。これならリーシーたちが触れても、何ら影響は無いだろうし」
最終工程と言わんばかりに、出来上がったアイテムすべてに一つひとつそんな仕込みを施していく……ここも、使用者が発動対象を複数にできるようになることを祈りたい。
そうして完成したアイテムは、仙郷の人々へ配られることになる。
さて、作業も済んだし……俺も迷宮の方へ行きますか。
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