虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
防衛策結果 中篇
そうして箱庭の情報を集めよう……としたところで、想定外の情報が入ってきた。
「……同じような場所がある?」
「ああ、冒険世界とはまったく違う空間ってことなんだが。もう……これを見てもらった方が速いな」
タクマが表示するのは、EHO内で撮られたSS。
そこに広がる街並み……まさしくそれは、ごく一部以外地球の都会だった。
違うのはその時代感。
ビルが並ぶ中、空を飛ぶ車だったり無数に飛び交うロボットだったり……近未来感が強いのである。
「トンネルを潜ったら未来でした、みたいなノリで上がっていた情報だな。投稿者によると、撮った後には警備システムが飛んできてすぐ追い出されたらしい」
「……それ、穴塞がれないか?」
「トンネルの先とこの光景が見れる場所までに、やや距離があったらしいからな。警備システムは、そこまで来なかったんだろう」
おそらく、ヘノプス同様に守護獣を突破しないと外に出れない仕組みなのだろう。
警備システム、なんて仕組みまであるなら古代世界よりも取れる選択肢は多いはずだ。
「……で、その場所は?」
「割と遠くだぞ。けどまあ、お前なら行くこと自体は簡単か」
言われた場所はなんと、だいぶ前に一度だけ行ったE8──大きな川が流れる、九龍帝国に近い場所だった。
川のどこかにその道があるんだとか。
あのときは渡ることばかり意識していたので、そちらを見つけることができなかったようだ……無念。
「どうする、すぐ行くか?」
「……いや、そっちより俺は古代の世界の行く末の方が気になるからな。古代人を見つけた連中に関する情報、そしてどこまで区画の攻略が進んでいるかだな」
「了解っと。お前の方が、あの世界に関しては把握しているよな?」
「そうだな……あっ、説明するときに分かりづらいとアレだから、これを見ながら区画に分けて話してくれ」
そうして渡したのは、古代世界の九区画すべての詳細な[マップ]情報。
当然、意図して要塞都市に関する部分も公開してある。
「……で、狙いは?」
「古代人側は交流可能、ただし言語のお勉強はちゃんとしておくこと」
「スキルは?」
「不要だし、一部のヤツは一般の言語で話せる。交流を図りたい奴だけ、ちゃんと言語を学ぶ必要がある」
タクマはなぜか頭を抱えながら、それでも必要な情報を聞き出してきた。
これは売れる情報、売ることができる情報だからな。
言葉を交わせないとき、まあ大抵の者は身振り手振りで意志を伝えようとする。
だが、それではできないときもある……その先で闘争を選ばないための情報なのだ
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