虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
防衛策結果 前篇
暗躍街 中央区
アレからどうなったのか、古代人視点とは別で知るために訪れた暗躍街のとある店。
……まあ、とある店と言っても、毎度お馴染みの情報屋だけども。
「──お前、また何かしたか?」
「……さぁ、何のことやら」
「顔を背けてその台詞を言っておいて、しらばっくれる方が難しいだろ」
まだ何も言っていなかったのだが、情報屋ことタクマは確信をしていた。
箱庭に関する情報を、把握していればこそだろうか。
「謎の『(再)』が付いたネームドかユニークの個体、魔力を阻害する謎の煙……この二つだけでも充分な厄ネタだぞ」
「……ハァ」
「おい、あからさまに溜め息を吐くな。なんだその、面倒な話になったみたいな顔は」
「……いや、事実面倒臭そうだし。そうじゃないだろ、俺が求めている情報は」
やらかした俺が悪いと分かっていても、そこは仕事だと割り切るタクマ。
その割には、本当に問題となることなら情報料とか払わずとも教えてくれるんだがな。
「はいはい、分かってますよ。あそこはレア素材が多いことで有名だからな、それなりに情報は集まってるぞ」
「最初からそれを言えば良かったんだよ」
「……我慢だ、我慢。どうせお前は認識して無いだろうから名前は挙げんが、それなりに優秀な休人が挑んでも敗れて、いわゆる殿堂入り後エリアみたいな認識のされ方だ」
「殿堂入りか……チャンピオンを倒さずとも入っている連中が何を言っているのやら。ある意味、間違ってはいないけどな。あそこ、全区画にレベルがカンストしている連中が居るから」
各区画の代表者は、それぞれすでにレベル250の域に到達している。
弱肉強食の世界だからこそ、種族の限界まで強いことが代表者の最低限の条件なのだ。
例外は少々小狡くとも、知恵と謀略を以って力量差を埋めることのできた個体。
もしくは一致団結し、その地を守るために選ばれた争いを好まない個体ぐらいだ。
「……お前は、あの場所の情報すべてを知っている、ってことでいいのか?」
「まあな。で、有志の情報はどこまで到達しているんだ?」
「九つの区画に分かれていること、それぞれの区画に必ず一匹は強力な個体が居ると思われること。あとはそうだな、居るはずのない人族があんな太古の世界に目撃されていることぐらいだな」
どうやら、まだそこまで情報は広まっていないようだ。
しかも暫定的ということは、南から二区画先にある古代人の領域には来ていない。
……ここからどうやって、上手くこちらの意図通りに進めるのか。
まあ、餅は餅屋──専門家に任せておいた方がいいよな。
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