虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
古代箱庭防衛策 その13
「──では、後はよろしくお願いします」
「……各代表との話し合いか」
「いくつかの区域が納得しないことは分かります。ですが、北西区のように温厚な区域があるのもまた事実。彼らの住む場所を守るためにも、ぜひとも協力を」
話を総括し、一先ず切り上げる。
本当に今さらだが、外部との関わり云々は古代人……そしてその他古代生物たちの問題であり、とやかく言うことではない。
あくまでも、ネゴシエーションの一環として、せめて交渉のテーブルに着けるようにするのが勝手ながら俺の役割だと思っている。
資格というのであれば、この箱庭を統べる存在になっているというだけで充分。
余所者なのは休人と同じだが、まともな奴かどうか調べるぐらいはしてやりたい。
「言語、敵対する意思のある古代生物、そもそもとして休人の意識……なんとかしなきゃいけないことだらけだ。いっそのこと、一致団結できるようなイベントでも用意すれば楽なんじゃないか?」
《箱庭を操作し、危機的な状況を創ることも可能ですが……いかがなさいますか?》
「却下で。やるにしても、一度代表者たちを集めて宣伝してからだな。ああでも、それだとその力を恐れたり利用しようとしたりする輩が出るのか。うーん、伝えるのも伝えないのも一長一短だな」
できる限りのことをする、とはそれ以上のことを他に委ねるのと同意だ。
ならばこそ、任せたあともその者たちだけでやっていけるようにしておきたい。
いっそのこと火山を噴火させ、拠点に用岩石でも飛ばせばいいとも思ったがな。
もちろんそんなことをすれば、各方面から警戒されてしまう。
それは俺も望んでいないのでお蔵入り。
同様に、箱庭の管理者としてできることはそのほとんどが目立ってしまい、今後に悪影響が出てしまうので無しだ。
「そういえば、『プログレス』に関する対策もやっておかないといけないのか……ここは箱庭だし、いっそのこと完全にアクティブ系は使用不可みたいにするのもいいかもな」
《よろしいのでしょうか? その場合、戦闘能力に特化した『プログレス』の持ち主から苦言が上がる可能性がございますが》
「能力の発動だけ封じて、基本システム自体は使えるようにすればいいだろ。翻訳機能もそういえばあったが……まあ、箱庭ルールとでも難癖付けて、そこは無しで」
《畏まりました》
やや理不尽ではあるが、古代人たちが頑張るのに休人たちが何の徒労もせずにコミュニケーションを取れるというのも変な話だ。
いきなり話せるよりは、ボディランゲージが混ざった会話を一時期やった方がいい。
その方が打ち解けやすいだろうし……休人側も、古代人を軽く舐めるだろうからな。
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