虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
古代箱庭防衛策 その05
言語に関してはやはり『代表』に任せ、他にやるべきことを優先する。
第一に休人への対応、そしてそれを他の代表者たちへ伝えることだ。
「『プログレス』の配布、各区画の代表者たちには配ってなかったからな……『代表』にこれもやってもらうとするか」
休人たちはすでに、箱庭の入り口がある南区画から進出している。
今は隣り合う区画だけで、古代人たちが住まう北の区画には来ていない。
……まあ、俺の拠点もある中央はほぼ突破不可能だろうが。
なので要塞都市を彼らが自力で見つけるのは、相当後だと思う。
「そうなんだよな……出現する生物のレベルも高いし、簡単に攻略するのは難しいんだよな。雑魚個体ならともかく、なまじ知恵のある個体は強くなろうとするからどんどんヤバくなるし。さて、彼らはどうするのかな?」
というわけでさっそく調査を始める。
使うのは便利なドローン、光学迷彩機能付きなので観測は難しい。
かつ、そもそも古代的な世界だという認識そのものが、上空に潜む機械を見つけづらくしてくれるだろう。
「『SEBAS』、視覚情報を共有しておいてくれ。出す映像は、そっちに任せる」
《畏まりました。まずは南区画、湖周辺を拠点とする休人の映像です》
パッと視界が切り替わり、目の前の光景はドローンによる上空からの空撮映像となる。
そこは冒険世界と箱庭を繋ぐ道、それがある湖を上から撮っていた。
そこは本来、箱庭の守護獣であるヘノプスが住まう場所。
なお、湖といっても別位相のような場所に居るので、襲われる心配は無いぞ。
「湖近くはいちおう、ボス用フィールドみたいな感じで魔物が近づかないようになっているからな。だからああして、拠点が作れるのか……もう村みたいになっているけど」
《一定の繁栄を得れば、セーブ石の設置が可能となります。建築系の職業に就いている者もいるため、その速度は比較的早いです。なお、素材は持ち込んでいる物を主に使用しているようです》
古代の素材の運用法を、まだちゃんと把握していないのだろう。
俺が一番最初に見つけた槍の葉っぱ然り、扱いが難しい物ばかりだしな。
だから解析は後回しにして、今は拠点造りには冒険世界の物を用いていると。
拠点の中だと生産にも補正があるし、解析とかにもそういうのがあるのかもしれない。
「──じゃあ、壊した方がいいな。そういうこともある、なんて認識をさせておきたい」
《……よろしいのでしょうか?》
「イレギュラーな状態に、どう反応するのかのテストだな。ついでに、いろいろと試したいこともあるし」
何かしらの条件を引いたから、その事態が起きたと思わせたいところだ。
なのでしばらくは待とう、その間に根回ししておくってことで。
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