虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
古代箱庭防衛策 その03
休人が箱庭を訪れる理由。
単純に未開拓の地を冒険するため、というのが大多数の理由かもしれないが……やはり利益になるからだろう。
すでに絶滅した植物や動物、そういった古代生物が多く存在するのが箱庭。
手付かず、そして手を付けようとしても原住民たちに排除されている現状。
だからこそ失敗の果てに、休人たちもある程度の妥協をした。
利益の分散、配るのではなく散らしてしまう選択を取ったのだ。
「徒党を組み、これまで以上に組織的な動きで攻めてくるでしょう。この地は拠点として利用するでしょうから、最悪の事態になることは無いと思われます……ですが、他の区画はそうではありません」
「それをどうにかするために、一芝居しろということか?」
「ええ。人族である皆さんが安全だと、むしろ手を出さないでくれと主張すれば、ほとんどの者は自分から手を出さなくなるはずですよ。まあ、一部の者は無視しますが……そちらは自業自得ということで」
ゲームだから、そんなノリで壺を割ったり箪笥を開いていた連中は逮捕される。
休人もこの世界の人々との付き合い方を学び、それを活かしていた。
そもそも、良識的な休人も居て暴走する連中はなんとかしてくれる。
……あくまでも、彼らは利益を欲しいのであり、敵対してでも奪い取るつもりはない。
「──要するにおつかいです。彼らに何かを依頼し、その内容に応じた礼を差し出す。本来であれば倒せないような……守護者たちの古い素材も、その景品に含んでおけば充分でしょう」
「むしろ、それは我々も欲しいものだぞ」
「まあ、その辺りは各区画の守護者たちと交渉してください……というより、交渉させましょう。個人個人でやらせるのは危険です、その中継を『代表』さんやこの地の皆さんにお願いしたいのです」
人は先にまったく道が無いと、逆に進みたくなることがある。
解釈の余地が無限大だからこそ、それゆえにやりたい放題なのだ。
だが、一本でも目に見える道があれば他に選択肢があってもそちらへ進んでいく。
要するに、あえて利益を得る手段をちらつかせて、そちらへ集中させるのだ。
「ふむ……こちらも何かしらの対価を要求すればいいわけだが。それは、タビビトからこれまで受け取っていた物以上に価値があるものなのか?」
「私にも、用意できない物はありましたよ。特にモノ、アイテムではない物などは特に。彼らからは、そうしたものを多く得てはいかがでしょうか?」
たとえば人材、まあその気になれば機械でも派遣するんだが……休人が地球の知識も交えて、古代人たちの手伝いをしてくれた方がいいだろう。
──とりあえず、やってみますか。
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