虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
多世界バトル後篇 その12
翌日、本選が幕を開いた。
最初は四人によるデスマッチ、生き残った者がさらに先へ進むことができる。
二人になるまで共闘するも、最初から三対一で無双するも良し。
各会場ごと、異なるやり方で二回戦進出者が決まっていく。
「さて、ショウの出番だな……相手は、強そうだな」
舞台に転送されてきたショウ。
同時に現れたのは、杖とローブを装備した魔法使い、機械チックな種族、いかにも踊り子といった煽情的な女性。
予選を突破しただけあって、彼らから隙は見られない。
ショウもそれを理解しているのか、油断はせずにすぐ剣を引き抜いた。
≪──それでは、試合開始!≫
いろいろと参加者紹介を終えた後、試合が始まる。
最初は様子見……から始まると思ったが、すぐに動き出した。
「うおっ、あのロボットみたいなヤツ、いきなりぶちかましたな」
《彼の種族は『機人族』。人族のように魔法が運用できない代わりに、複数の機械ユニットを用いて戦闘を行います》
何をしたかと言うと、開幕早々に大量の機械が着装されて起動したのだ。
ガトリング砲やらロケットランチャーなどが一気に発射され、他三人を襲う。
ショウは剣で捌き、魔法使いは障壁で逸らし、踊り子は踊って躱した。
三者三様な対処法だったが、誰も真っ向から防御などはしていない。
撃った方も、これで相手が消耗するとは考えていないはず。
あくまで、見た目と戦闘スタイルが合っているかの確認程度だろう。
「ここからが本番ってわけだな。次は踊り子か? 踊って……すぐには何も起きないか」
機械は切り替えればすぐに使えるが、その隙を突かれれば負ける可能性がある。
膠着する時間は無い、だからこそ次の展開もまた素早く起きた。
踊り子が舞台の上で足踏みを、体を優雅に動かし舞い踊る。
下品ではないその踊りに、観客たちが興奮し声を上げていく。
だが、舞台上の三人は警戒を怠らない。
踊り子の舞は、決して人々を楽しませるためだけのものではない──そこにはれっきとした意味が存在する。
「『SEBAS』、説明を」
《あれには二つの意味がございます。一つ目は【舞人】の能力による、自己強化と他者弱体の同時掛け。そして、もう一つが足の軌跡による魔法陣の描画です》
「足で魔法陣? ……まあ、踊りとリンクしてやるのはなんとなく記憶にあるけど」
創作物の一つだが、竜に乗って踊りながら魔法陣っぽいものを作ると、それに対応した術式が発動するみたいな流れだったな。
つまりアレは、そんな感じで普通じゃ発動できないような魔法を準備しているということか……さて、ショウはどうするのかな?
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