虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
多世界バトル後篇 その07
死神の鎌は触れれば即死。
それが千本、しかも縦横無尽に舞台を駆け巡っている。
それらすべてを弾き、捌き、避けながらアカは俺に生みだした魔剣を振るっていた。
その都度俺の体を『SEBAS』が動かして、鎌を自在に操り対処している。
だが、だんだんとその距離は近づく。
赤いオーラが熱波を生み出し、防御や加速も行われて──
「終わりだ」
「っ……!」
「捕まえた」
「ぐぁああああ!」
オーラが体に纏わりつき、こちらに干渉。
途端に感じる膨大な熱量……を意識できないまま、全身が炎に包まれる。
息が苦しい、体が痛い、五感すべてが苦痛に満ちていた。
バラエティーで安全に火だるまと化すというものもあるが、これは絶対に違う。
意識が引き剥がされる。
体がじわじわと炙られ、体を動かそうという意思自体を奪われていった。
「ぐぁああああ!」
「…………」
「ぐぁああああ!」
「……まだなの?」
抗う意思はもう奪われている。
だが、意思が無くとも俺には動く手段があるわけで……何より、心臓が脈打つ限り決して死ぬことは無い。
それと同時に、業火とも呼べる炎の中で俺は何度も死んでいる。
システム的な退場は行われない──だが、死はあることで証明されていた。
「──ぁ……」
「?」
「──『しょう、ねつの……し、えん』」
「ッ……!?」
それゆえに、『死天』謹製のアイテムがストックされる。
焼死の具現化たる『焦熱の死焔』が、起動と共に俺とアカを一気に焦がす。
「き、さま……!」
「ふ、ふふ……ふははは! さぁ、共に逝きましょう! まあ、私は死んでもしばらくは持ちますけど」
「~~~~!!」
なんだか憤死しそうな勢いだが、それよりも先にすべてを炎が焼き焦がす。
それはアカが纏うオーラをも呑み込み、耐性の壁を超えてダメージを与えていく。
俺も、アカもすぐに生命力が尽きる。
それでも残り続けるのは……向こうも向こうで、何かしらの策があったのだろう。
だが、その勝負において俺が負けることは許されない。
生存特化の『超越者』、『生者』を冠する誇り……のようなものがあるからな。
「──では、お別れですね。すみませんね、生き永らえることに関して、現状休人で私に勝てる者はいませんよ」
「……ゴ──」
「──“ソウルハント”!」
何かを言いそうだったが、俺の直感が阻止するように命令。
即座に魂を刈り取ることで、その口を黙らせた。
≪アカ選手の退場を確認! 優勝は──ゴンベエだ!≫
そうして、俺は二部門での優勝を果たす。
……さぁ、次はお前の番だぞ、ショウよ。
コメント