虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
多世界バトル中篇 その28
連続更新です(05/06)
===============================
今回、:DIY:は補助的な使用のみにして、それ自体を使わずに作り上げる予定だ。
周りの目があまりにも多いし、間違いなくジンリの『目』もある……隠しておきたい。
「──“星変万還”」
普通の道具を使うよりかは、星核を用いた武玉を使った方が生産の補正になる。
鍛冶槌以外のすべてをこれで行い、ひたすら『乗散竜』を加工していく。
「……:DIY:、教えてくれ」
しばらくして、杖としての加工に不要な部分の解体が終了する。
もともとドロップ時に素材にならない無駄な部分は削られたが、それでもまだあった。
爪や牙、そして体内の臓器や血管など……一つひとつにそれぞれ意味が与えられ、加工すれば[ドラグライズ]の能力の超劣化版なら使えるようになるだろう。
だが、俺が使うのはそれらではなく、かつて[ドラグライズ]だったという象徴である体そのもの……他の部位は、『騎士王』と相談して処理をしよう。
能力を限定的に起動すると、補正は起きないで生産に関する知識が一気に流れ込む。
創造神様が管轄する世界ならば、どんな技術でも一時的に知ることが可能だ。
今回のユニーク種加工に当たって、通常の技術では不十分だと判断。
多世界から膨大な量の情報を落とし込み、それらを一つに束ね──陣を描く。
できた陣の上に、[ドラグライズ]を配置してさらに陣を書き加える。
場所が足りなかったので、空いていた舞台の中央で最後の作業を始めた。
「『乗散竜[ドラグライズ]』。ありとあらゆるエネルギーを増大させ、逆に減衰させることができる性質を有する。これを上手く杖として機能させるには……概念ごと収束させるのが一番だな」
錬金術でやれることはいくつかあるが、その中に『収束』という手法が存在する。
成分を抜き取る『抽出』とも、他の性質を他所から引っ張ってくる『貼付』とも違う。
その存在の有する性質を、その存在の核としてアイテム化する……といったところか。
必要なのは作業中のエネルギー、そしてその存在を加工するために必要なリソース。
たとえば『炎を吐く雷の獣』から『収束』させれば、『雷を変換して火にする』というのようなアイテムにすることも可能だし、その逆やまったく異なる性質も生みだせる。
ただし、それらをすべて内包するようなアイテムは難しい。
他の可能性を削り、その一つの性質を強化させることが『収束』の本質とも言えよう。
「けど、『概念収束』は違う。対価は相応に多いけど、そこは星のエネルギーで補ってしまえば──余るぐらいには充分だ」
削るのではなく補佐に回し、存在の持っていた力を十全に発揮できるように加工する。
明確なイメージで設計図を脳裏に浮かべ、陣にエネルギーを注ぎ込み術式を起動。
「さぁ、生まれ変われ[ドラグライズ]──『概念収束』」
眩い光が会場を包む。
とっさのことに防げなかった者も居るようだが、出来上がった品を見て勘弁してもらいたい。
竜が宝玉を持つようなデザインの長杖。
それが宙に浮かび、担い手を待つかのように風格を放っている。
俺は依頼人である『騎士王』を見た。
彼女はただ、目を輝かせている──だからこそ、大切なことを伝える。
「銘を『流燦杖[ドラグライズ]』。いつか見せてくれよ、使っているところを」
「……さすがは『生者』だ。いいだろう、楽しみにしておくと良い」
そう語る『騎士王』の満足気な表情に、俺もまた気を緩めるのだった。
===============================
今回、:DIY:は補助的な使用のみにして、それ自体を使わずに作り上げる予定だ。
周りの目があまりにも多いし、間違いなくジンリの『目』もある……隠しておきたい。
「──“星変万還”」
普通の道具を使うよりかは、星核を用いた武玉を使った方が生産の補正になる。
鍛冶槌以外のすべてをこれで行い、ひたすら『乗散竜』を加工していく。
「……:DIY:、教えてくれ」
しばらくして、杖としての加工に不要な部分の解体が終了する。
もともとドロップ時に素材にならない無駄な部分は削られたが、それでもまだあった。
爪や牙、そして体内の臓器や血管など……一つひとつにそれぞれ意味が与えられ、加工すれば[ドラグライズ]の能力の超劣化版なら使えるようになるだろう。
だが、俺が使うのはそれらではなく、かつて[ドラグライズ]だったという象徴である体そのもの……他の部位は、『騎士王』と相談して処理をしよう。
能力を限定的に起動すると、補正は起きないで生産に関する知識が一気に流れ込む。
創造神様が管轄する世界ならば、どんな技術でも一時的に知ることが可能だ。
今回のユニーク種加工に当たって、通常の技術では不十分だと判断。
多世界から膨大な量の情報を落とし込み、それらを一つに束ね──陣を描く。
できた陣の上に、[ドラグライズ]を配置してさらに陣を書き加える。
場所が足りなかったので、空いていた舞台の中央で最後の作業を始めた。
「『乗散竜[ドラグライズ]』。ありとあらゆるエネルギーを増大させ、逆に減衰させることができる性質を有する。これを上手く杖として機能させるには……概念ごと収束させるのが一番だな」
錬金術でやれることはいくつかあるが、その中に『収束』という手法が存在する。
成分を抜き取る『抽出』とも、他の性質を他所から引っ張ってくる『貼付』とも違う。
その存在の有する性質を、その存在の核としてアイテム化する……といったところか。
必要なのは作業中のエネルギー、そしてその存在を加工するために必要なリソース。
たとえば『炎を吐く雷の獣』から『収束』させれば、『雷を変換して火にする』というのようなアイテムにすることも可能だし、その逆やまったく異なる性質も生みだせる。
ただし、それらをすべて内包するようなアイテムは難しい。
他の可能性を削り、その一つの性質を強化させることが『収束』の本質とも言えよう。
「けど、『概念収束』は違う。対価は相応に多いけど、そこは星のエネルギーで補ってしまえば──余るぐらいには充分だ」
削るのではなく補佐に回し、存在の持っていた力を十全に発揮できるように加工する。
明確なイメージで設計図を脳裏に浮かべ、陣にエネルギーを注ぎ込み術式を起動。
「さぁ、生まれ変われ[ドラグライズ]──『概念収束』」
眩い光が会場を包む。
とっさのことに防げなかった者も居るようだが、出来上がった品を見て勘弁してもらいたい。
竜が宝玉を持つようなデザインの長杖。
それが宙に浮かび、担い手を待つかのように風格を放っている。
俺は依頼人である『騎士王』を見た。
彼女はただ、目を輝かせている──だからこそ、大切なことを伝える。
「銘を『流燦杖[ドラグライズ]』。いつか見せてくれよ、使っているところを」
「……さすがは『生者』だ。いいだろう、楽しみにしておくと良い」
そう語る『騎士王』の満足気な表情に、俺もまた気を緩めるのだった。
「虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
7
-
403
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1,249
-
940
-
-
73
-
446
-
-
78
-
2,902
-
-
169
-
59
-
-
6,644
-
2.9万
-
-
64
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
441
-
726
-
-
5,167
-
2.6万
-
-
5,030
-
1万
-
-
9,686
-
1.6万
-
-
8,168
-
5.5万
-
-
2,488
-
6,724
-
-
3,146
-
3,386
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,539
-
5,228
-
-
9,385
-
2.4万
-
-
6,176
-
2.6万
-
-
1,292
-
1,425
-
-
6,657
-
6,967
-
-
2,857
-
4,949
-
-
984
-
1,509
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
341
-
841
-
-
71
-
153
-
-
6,204
-
3.1万
-
-
356
-
1,672
-
-
79
-
138
-
-
1,861
-
1,560
-
-
3,641
-
9,420
-
-
12
-
6
-
-
84
-
30
-
-
105
-
364
-
-
63
-
43
-
-
190
-
926
-
-
201
-
161
-
-
80
-
281
-
-
3,202
-
1.5万
-
-
19
-
1
-
-
2,620
-
7,283
-
-
2,940
-
4,405
-
-
27
-
46
-
-
59
-
87
-
-
9,166
-
2.3万
-
-
98
-
14
-
-
152
-
244
-
-
33
-
83
-
-
49
-
163
-
-
23
-
2
-
-
83
-
150
-
-
40
-
12
-
-
611
-
1,139
-
-
7,460
-
1.5万
-
-
216
-
516
-
-
610
-
221
-
-
2,794
-
1万
-
-
2,419
-
9,367
-
-
4,915
-
1.7万
-
-
1,640
-
2,764
-
-
400
-
439
-
-
1,287
-
8,763
「SF」の人気作品
-
-
1,791
-
1.8万
-
-
1,270
-
1.2万
-
-
466
-
3,001
-
-
452
-
98
-
-
431
-
947
-
-
429
-
813
-
-
415
-
688
-
-
369
-
994
-
-
362
-
192
コメント