虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
多世界バトル前篇 その23
連続更新です(05/06)
===============================
始まりはとても静かに。
両者ともに相手の挙動を窺うでもなく、ただ何もしないで棒立ち状態。
変化の起きない光景に、痺れを切らす観戦者も居たが……それでも変わらない。
だが、三十秒が経ったそのとき──舞台の中央で爆発音が鳴り響く。
「……くっ」
「ほほぉ、これを受け……ておらぬではないか。じゃが、なかなかにイイのぉ」
俺とジーヂー──翁が同時に放った一撃によって破裂した音だ。
しかし、その結果は互角ではない……破裂したのは空気ではなく、俺の腕だった。
腕そのものは残っているが、内部がズタズタにされてしまう。
死によって『生者』が内包する[称号]の効果が発動──表面的な修復が行われた。
それでも、『バトルラーニング』は最適な動きで翁の攻撃を相殺している。
……翁は攻撃だけだが、俺は俺自身が殺されているんだけどな。
「ふむ……ならば一つ、試してみるのもまた一興──“虎砲”!」
「ッ……!?」
その攻撃は、俺を吹き飛ばす。
ただ翁は拳を変に握って突き出しただけ。
死んだ後に[ログ]を見れば、空気の弾丸に吹き飛ばされたと分かった。
だが、風魔法による空気の弾丸も躱せるはずの『バトルラーニング』が、それをできなかった……そもそも、対応する挙動を取れずにいたのだ。
「……既存の武技では、ありませんね」
「ほほぅ、さすがに早い。そうじゃな、それは間違っておらぬよ」
「ルール的に、誰かが開発した武技と言うわけではないでしょう。何より、本来のシステムでは存在しないもの……『プログレス』によるものですね」
「さぁ、どうじゃろうか」
誤魔化してはいるが、間違いない。
今は分からないが、武技に何らかの形で干渉できる『プログレス』を持つようだ。
俺は管理者権限で、『プログレス』すべての情報を把握できる。
ある暇なときに確認したところ、そういうナニカを生み出す系の能力を見ていた。
当時見たそれは魔法を生み出す能力だったが、その武技版があってもおかしくはない。
ただそのとき、『SEBAS』が教えてくれたことがあったな。
「そのお歳でクリエイターとは……創造力が豊かな方ですね」
「──。『いまじねーしょん』、たしかにそれも重要じゃろうが……やはり大切なのは、これじゃよ──“龍砲”!」
あえて俺の問いを誤魔化し、先ほどとは異なる形を両手の拳で表して突き出した。
すると、先ほどよりも強力かつ高速な一撃が俺を吹き飛ばす。
先ほどの一撃から『バトルラーニング』も学習したようで、すぐに立て直した。
二度目は無い……だが、一度目を何度も続けられるのはかなり危うい。
「鍛え上げた武、そして編み出した技……儂の一族が受け継いできたこの力、貴殿がどこまで足掻けるか見物じゃわい」
今回はかなり不味い……搦手が通用すればいいんだけど。
===============================
始まりはとても静かに。
両者ともに相手の挙動を窺うでもなく、ただ何もしないで棒立ち状態。
変化の起きない光景に、痺れを切らす観戦者も居たが……それでも変わらない。
だが、三十秒が経ったそのとき──舞台の中央で爆発音が鳴り響く。
「……くっ」
「ほほぉ、これを受け……ておらぬではないか。じゃが、なかなかにイイのぉ」
俺とジーヂー──翁が同時に放った一撃によって破裂した音だ。
しかし、その結果は互角ではない……破裂したのは空気ではなく、俺の腕だった。
腕そのものは残っているが、内部がズタズタにされてしまう。
死によって『生者』が内包する[称号]の効果が発動──表面的な修復が行われた。
それでも、『バトルラーニング』は最適な動きで翁の攻撃を相殺している。
……翁は攻撃だけだが、俺は俺自身が殺されているんだけどな。
「ふむ……ならば一つ、試してみるのもまた一興──“虎砲”!」
「ッ……!?」
その攻撃は、俺を吹き飛ばす。
ただ翁は拳を変に握って突き出しただけ。
死んだ後に[ログ]を見れば、空気の弾丸に吹き飛ばされたと分かった。
だが、風魔法による空気の弾丸も躱せるはずの『バトルラーニング』が、それをできなかった……そもそも、対応する挙動を取れずにいたのだ。
「……既存の武技では、ありませんね」
「ほほぅ、さすがに早い。そうじゃな、それは間違っておらぬよ」
「ルール的に、誰かが開発した武技と言うわけではないでしょう。何より、本来のシステムでは存在しないもの……『プログレス』によるものですね」
「さぁ、どうじゃろうか」
誤魔化してはいるが、間違いない。
今は分からないが、武技に何らかの形で干渉できる『プログレス』を持つようだ。
俺は管理者権限で、『プログレス』すべての情報を把握できる。
ある暇なときに確認したところ、そういうナニカを生み出す系の能力を見ていた。
当時見たそれは魔法を生み出す能力だったが、その武技版があってもおかしくはない。
ただそのとき、『SEBAS』が教えてくれたことがあったな。
「そのお歳でクリエイターとは……創造力が豊かな方ですね」
「──。『いまじねーしょん』、たしかにそれも重要じゃろうが……やはり大切なのは、これじゃよ──“龍砲”!」
あえて俺の問いを誤魔化し、先ほどとは異なる形を両手の拳で表して突き出した。
すると、先ほどよりも強力かつ高速な一撃が俺を吹き飛ばす。
先ほどの一撃から『バトルラーニング』も学習したようで、すぐに立て直した。
二度目は無い……だが、一度目を何度も続けられるのはかなり危うい。
「鍛え上げた武、そして編み出した技……儂の一族が受け継いできたこの力、貴殿がどこまで足掻けるか見物じゃわい」
今回はかなり不味い……搦手が通用すればいいんだけど。
「虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
7
-
403
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1,253
-
944
-
-
73
-
446
-
-
78
-
2,902
-
-
170
-
59
-
-
6,644
-
2.9万
-
-
64
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
442
-
726
-
-
5,170
-
2.6万
-
-
5,030
-
1万
-
-
9,691
-
1.6万
-
-
8,169
-
5.5万
-
-
2,491
-
6,724
-
-
3,146
-
3,386
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,540
-
5,228
-
-
9,385
-
2.4万
-
-
6,176
-
2.6万
-
-
1,292
-
1,425
-
-
6,657
-
6,967
-
-
2,858
-
4,949
-
-
985
-
1,509
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
341
-
841
-
-
71
-
153
-
-
6,206
-
3.1万
-
-
358
-
1,672
-
-
80
-
138
-
-
1,861
-
1,560
-
-
3,643
-
9,420
-
-
12
-
6
-
-
86
-
30
-
-
105
-
364
-
-
63
-
43
-
-
192
-
926
-
-
202
-
161
-
-
80
-
281
-
-
3,202
-
1.5万
-
-
19
-
1
-
-
2,621
-
7,283
-
-
2,940
-
4,405
-
-
28
-
46
-
-
59
-
87
-
-
9,166
-
2.3万
-
-
98
-
15
-
-
152
-
244
-
-
33
-
83
-
-
49
-
163
-
-
23
-
2
-
-
83
-
150
-
-
40
-
13
-
-
611
-
1,139
-
-
7,460
-
1.5万
-
-
216
-
516
-
-
610
-
221
-
-
2,794
-
1万
-
-
2,419
-
9,367
-
-
4,916
-
1.7万
-
-
1,640
-
2,764
-
-
400
-
439
-
-
1,289
-
8,764
「SF」の人気作品
-
-
1,791
-
1.8万
-
-
1,270
-
1.2万
-
-
467
-
3,001
-
-
452
-
98
-
-
431
-
947
-
-
430
-
813
-
-
415
-
688
-
-
369
-
994
-
-
362
-
192
コメント