虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
多世界バトル前篇 その07
≪基礎縛り部門にご参加の方は、会場内での待機をお願いしております。規定時刻になり次第、自動的に転送を行います≫
超巨大コロシアム内に響くアナウンス。
それらを耳にしながら、俺は準備を整えていく。
「ルールを確認しておくか。『SEBAS』はそれが合っているかを教えてくれ」
《畏まりました》
「基礎縛り部門は武技や魔技の中でも、初期からあるモノかレベルアップで取得できたモノしか使うことのできない部門。スペック差に関しては、そのままなんだよな。合わせようとすると使えなくなるかもしれないから」
《その通りです。武技や魔技の中には、一定の能力値を必要とするモノがございます。基礎のみということですが、基礎が初心者というわけではございません》
創作物では定番の、基礎の技を極め続けたらチート級という話みたいなものか。
使い続ければ熟練度が向上し、性能が上がるのと同じだろう。
「そんなルールだから、特殊な装備のスキルとかは使うことができない。ただし、装備の補正はちゃんと付く。『プログレス』に関しては、どうしようも無いからそのまま。ある意味、基礎の能力があるわけだしな」
個人ごとに異なる能力だが、それもまた立派な基礎能力である。
それらをどう使うか、いつまで隠せるかが基礎縛りのルール下では重要になるだろう。
「……で、俺の話だが。[称号]は使えるらしいが、死亡時の強制退場は機能するため、『生者』で不死身は不可能だ。ただし、死亡判定は生命力が0になったときじゃなくて、再構築が行われるときなんだよな?」
《はい。旦那様同様、休人は死亡が終わりではないことを利用する者が多くいるため、そういったルールになったのかと。具体例ですと、死亡後も一定時間活動可能な能力などがございます》
「俺の場合、今回使うのはそっちか。聞いた話だと、HP1で耐えて回復するなんてコンボもあるらしいけど、俺の場合は元が1だから意味無いんだよな。それなら0でも、そのまま倒して終わらせた方がいい」
普段は効果を発揮することなく、『生者』で即時復活を図っているが、今回のルールだとそれも難しい。
魔道具で誤魔化すというのも手だが、やり過ぎて運営に目を付けられるのもごめんだ。
そうなると、あくまでもルールの範疇で行う小細工に尽きる。
死亡後に活動できる効果は、例の能力と違い成長性が無く時間が固定済み。
いちおう『生者』の強化に応じて時間は伸びたが、それそのものに変化は無い。
もう迷宮で強化されることは無いだろうから、本当の意味で固定された。
普段とは違う戦い……今さらながら、面倒な計画を立ててしまったな。
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