虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
多世界バトル前篇 その03
改めて『天』の面々を思い返しても、たしかに奪い取るのは無理だろうなぁと感じる。
うちの家族はもちろんのこと、『渡り船』の奴らも無数のオンゲーで腕を磨いていた。
そう、比較的奪いやすいのは他でもなく俺の持っている『天』なのだろう。
生産、冒険(交流)、統率、死亡……物理や魔法の威力などを比べるより簡単だ。
「けどまあ、一番簡単な死亡数は他の追随を許さないしな。生産も:DIY:がある以上、負けるはずが無いし。統率は……まあ、うちの工場で生産されているドローンを超えればいいのかな?」
基本、強者と接すると容赦なく破壊されてしまうため、ドローンは製造し続けている。
複製の模倣神代魔道具が使われており、無限に同じ性能のドローンが生産されるぞ。
統率のカウント数に機械が含まれる限り、おそらくこの地位は揺らぐことは無い。
どんどんアップグレードされているし、普通の手段じゃ難しいだろうな。
「一番簡単なのは『冒天』か。俺より交流してくれればいい……というか、むしろそうしてほしい。別にいいけど……別にいいんだけど、相手をするのが大変だからな」
獲得条件はたしか、どれだけ星における重要人物と関わったか……だったな。
当然、『超越者』などは高ポイントになるので、必然的に俺が獲得していた。
つまり、俺が一番トラブルを背負わなければならないということ。
うん、全然嬉しくない……むしろ、あげられるならあげたくなるレベル。
「けどまあ、もう無理だしな。普段はセットしているぐらいには、慣れているから別にいいんだけどさ」
《運命強化やフラグ増大といった効果は、いわば因果干渉の性質を有しております。旦那様がご家族に対抗するためには……確実に必要となるかと》
「……そうなんだよな。悪いな、そんなこと言わせちまって」
なんとなく、含みのあるメッセージだったと思う。
俺のためを思って言ってくれたことだし、不快に思うことなんて無い。
圧倒的女神(物理)なルリ、The・主人公なショウとマイ。
……マイもマイで、ショウとは別ベクトルでイベント発生を引き起こしているからな。
そんな家族と俺は、そもそも差があり過ぎるだろう……ただゲームが好きで、縛りプレイでランダムを押してきた、ただそれだけで追いつけるはずがない。
できることなら何でもやって来た。
少なくとも、これまではそう考えていたのだが……これから行うイベントが、より多くの手段を俺に教えてくれればいいのだが。
「そろそろ行こうか……登録に」
歩いて辿り着いたのは、多くの休人が集まる参加登録所。
俺もまた、これからそこへ向かう……あまり死なない方が縁起がいいんだけどな。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
145
-
-
124
-
-
37
-
-
1980
-
-
52
-
-
112
-
-
353
-
-
35
-
-
40
コメント