虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
多世界バトル前篇 その02
大陸といってもかなり小さいのだが、それでも内包する闘技場は異様にデカい。
ドローンで計測してもらったところ、総面積は……だいたいディズニーと同じようだ。
あっ、ランドでもシーでもなくて、まさかのワールドと同じらしい。
つまり122万平方キロメートル、ランドが239個もあるような広さだ。
「……巨人族でも楽しめるってか? そういえば、見たことが無いよな」
《巨人族の成人個体ともなれば、竜族同様に人化が可能となりますので。旦那様はすでに巨人族の者と邂逅を経験しておりますが、接点も無かったためお伝えしませんでした》
「いつの間に……まあ、いちいち人の種族を詮索するのはプライバシーに反するか。俺も死なないからってどのアンデッドだ? とか聞かれたら嫌な気分になるし」
まあ実際、死にまくっているのであながち否定はできないけど。
実は[称号]にも、その気になればシステム判定をアンデッドにできるものがあるし。
「しかし……闘技場の外で何かを売るってのは定番だけども、まさか街ごと全部この中に入れてあるのか。闘技場都市とか、そういうレベルじゃないよな、これ」
《これもまた、独自性を出すための運営による戦略の一種でしょう》
「そりゃあな。まあ、スタジアムで飲食をするための物を買うのは定番だが、ここなら魔道具でも買えるし、宿泊施設に泊まることもできるのか……いやはや、闘技場って寝るための場所だったっけ?」
スポーツのスタジアムでも、場内販売でいろいろと売っている場所があるけど……この闘技場内では、巨大な建物としてさまざまな施設が用意されている。
それは旧来の闘技場では考えられない物も含まれており、なぜかタワーホテルのような物もうっすら視界に入っていた。
「……これ、どういうことだ?」
《この闘技場では独自の制度が構築されているようです。強者であれば、それだけ優遇される……旦那様の視認されたホテル、その上位ルームは一定の勝利成績を持つ者のみが泊ることのできる環境のようです》
「……天空の闘技場じゃないんだから」
マスタークラスでもあるのだろうか? そう訊ねると、本当に存在するようで。
チャンピオン、マスター、キング……と強いとランクが与えられるらしい。
《なお、旦那様の持つ『天』の称号。その継承戦が行われるのもこちらとなります》
「……えっ、何それ?」
《保持者と同等の成績を別の休人が出した場合、継承戦の連絡が入ります。どのような内容であれ、それはここで行われます》
「……今まで一回も無かったよな?」
俺が持つのは生産の『巧天』、原人交流の『冒天』、支配数の『統天』、そして死亡数の『死天』……その下に『匠』が存在する。
ちなみにだが、『匠』の方は抜かれる前に警告が出た後は勝手に継承されるらしい。
あくまでも、『天』の継承だけが派手に行われるそうだ。
──まあ、[ヘルプ]に載っているだけで一度も行われたことがないらしいけどな。
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