虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
バトルイベント予告 後篇
イベントの説明はこれで終了……かと思いきや、大切なことを教わった。
《──初心者部門を除き、休人以外の参加も認められています》
「……優勝は無理なんじゃないか?」
《運営の情報では、あくまでも未知の強者とのみ書かれておりますが、おそらくは間違いないかと。『騎士王』、そして旦那様が訪れたことのない世界の猛者たちも現れるかと》
「俺たち休人が、『プログレス』で調子に乗り始めたのが原因かもな……圧倒的な個の力で、捻じ伏せようってわけだ」
俺が開発した『プログレス』は、この世界における神様たちが運営と交渉した結果、今では初期段階からゲームシステムの一環として導入されている。
まあ、受け入れるかどうかは本人次第なのだが、現段階ではほとんど使用していた。
自分だけの特別な力、そのワードに弱いヤツがいて……たまにやらかすのが問題だ。
だがいかに『プログレス』があろうと、負けるときは負ける。
相性などもそうだが、単純な力量差での敗北が多い。
それは間違いなく、『超越者』という持つがゆえに持たざる者へ挑んだからだろう。
彼らだけが『プログレス』を、世界で唯一使える可能性を持たないからな。
「他の世界……今さらだが、『超越者』は別の世界にも居るのか?」
《おりません。正確には、この世界のように権能として特殊な力を秘めた『超越者』は存在しません。種族のレベルなど、制限を超えた者を総称して『超越者』と呼びます》
「なるほど……じゃあ、他の世界のヤツらならその特殊な奴らでも『プログレス』を使うことができると?」
《いいえ。各世界ごと、逸脱した能力の保持者には使用不可能です。『プログレス』はその逸脱したモノを収める器に、システムを組み込んでいる……そうお考え下さい》
実際には違う、そう言っているようだ。
まあ、俺も良く分からないのでそれぐらいの解釈にしておこう。
各世界ごとに、面白チート能力は存在しているが、彼らもまた『プログレス』を使うことはできないと……うん、理解した。
「つまり、俺が新しく『生者』以外で別世界の権能を得ることはできないと?」
《不明です。そもそも、複数の権能を得るべく別世界へ渡ったケースが想定されておりません。器に容量さえあれば、理論上不可能ではございませんが》
「可能性はゼロじゃない……そして何より、それそのものを手に入れる必要も無い。やり方は俺たち次第だ。紛い物でも偽物でも、それが意図する現象さえ起こせればいい」
俺が無差別部門で無双することは無いが、無双する人々を見ることはできる。
それ次第では、別の世界に足を踏み入れるのもいいかもしれないな。
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