虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
アンヤク(03)
■■世界アイスプルより、各世界への情報発信──応答願う。
幽源世界レムリア──確認しました。
■■世界パシフィス──確認しました。
■■世界イベンリア──確認しました。
冒険世界アドヴェンス──確認しました。
応答を識別しました。
冒険世界との接続により、開示情報の拡張が確認されました。
これにより、【救星者】及び代行者からの依頼を受信──送信します。
レムリア──確認……受諾。
パシフィス──確認……拒否。
イベンリア──確認……拒否。
アドヴェンス──確認…………保留。
受諾:1・拒否:2・保留:1を識別。
依頼は否定を宣告──認証されました。
各世界へ、次いで依頼を確認。
接続可能な異世界への、中継接続を依頼します。
レムリア──不可能。
パシフィス──不可能。
イベンリア──確認……可能。
アドヴェンス──確認……可能。
不可能:2・可能:2を識別。
イベンリア及びアドヴェンスには、後ほど情報を送信します。
◆ □ ◆ □ ◆
冒険世界より報告──送信。
「なるほど、そのような結果に至ったか……その対策はどうするのだ?」
応答──【星■■】を派遣。
「今はまだ早い。これまでの積み重ねが、それを証明しているであろう。それに、その選択は其方を削るはず……改めよ」
了承──監視を提案。
「それがいい。はぁ……まったく、世話の焼ける男だ」
了承を確認。
報告を終了する。
◆ □ ◆ □ ◆
起動を確認……情報をインストール。
「──インストール完了。擬似人格を起動します……それで、私はいったい何を?」
依頼を送信。
指示に従い、適切な行動を依頼する。
「……なるほど、監視を。しかし、その案は否定されたようですが?」
依頼が不適切である可能性を提示。
星剣より得た情報との不適合を確認。
「あくまで彼の意思ではなく、その代行者によるものだったと? ですが、それはこれまでも同じだったのでは?」
当世界との接続を正式なものにした以上、それを調べる義務がある。
故に起動を実行、監視を行わせるに至る。
「……そんな義務、無いと思いますけど。まあいいです、そういうことならば顔を出さずともいいみたいですし。注意すべきは、彼を意図せず殺してしまったら検知されることですかね……どうしましょう?」
……期待する。
「あっ、ちょっと……! もう、本当に接続が絶たれました。まあいいです、久しぶりの起動ですね……今じゃあの頃は神代って言われているんですか。なんだか寂しいですが、仕方ありませんね──調査を開始します」
◆ □ ◆ □ ◆
その日、世界に何が起きたのか……それを知る者はごくわずかだ。
しかし、それを知る者たちは察する──間違いなく、世界が大きく変化すると。
「しかしまあ、なんとも暇な日だな……こういう日は、アレでも飲んでハッスルしちゃうのもいいかもな」
《飲み過ぎにはお気を付けください》
「分かってるって……本当、気分がいいのは最初だけだからな」
その根幹にある男は、事実を知らされないままに今日も今日とで楽しく生きている。
彼がその事実を知るのは……そう遠い日のことではない。
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