虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
強者の宴 その25
俺も『侵略者』も、そういった意味ではある意味同じなのだろう。
異なる星からやってきて、影響を及ぼしていく……益があるかどうかの違いだ。
俺が全然行ったことのない、武闘や魔法に関する世界もまた同じようなものなのか。
だが、それらの世界は信用ができる……対するこちらはそうではない、それだけだ。
「星剣は告げている。君こそが、新たな世界の根幹を担う者だと。知っているんだろう、星の秘密を?」
「……秘密、ですか?」
「そう、星とは何なのか……あの場所のことさ。まったく同じ物を知っているとは言わないけど、君は君でそのことを知っているはずさ──【救星者】なのだから」
星剣がピカピカ光っている。
それは【勇者】だけでなく、【救星者】である俺にも何かを訴えかけるように。
「先ほども申した通り……私はただ、足掻いていただけです。何もない……いえ、何もかもが終わったあの地は、今では自然溢れる豊かな地となっております。星そのものにも、活力が溢れるようになりました」
「…………」
「それ以上でもそれ以下でもありません。星は現在、力を求めていませんので。【勇者】様、私どもはただ友好的でありたいと考えております」
「…………そうかい」
ゆっくりと星剣の輝きが収まっていき、やがて【勇者】の表情も真剣なモノよりも柔らかくなっていく。
「君は最悪のケースを、どう考えていた?」
「敵対認定され、その星剣が宿す権能を振るわれること……でしょうか?」
「どういった物か、理解しているんだね」
「この世界独自の性能に関しては知ってはいませんでしたが、共通の権能に関しては知る手段がございましたので。厄介な物です──星に仇成す者を強制的に追放させるとは」
分かりやすく言えば、『侵略者』も何もできずに追い返すことができる。
今まで俺が居た場所より、異世界から侵攻されていた場所で使われていたその権能。
アイスプルにも、いちおう星のアイテムは存在して……似たようなことができる。
そちらはまったく使ったことが無い、どうせならそのままでありたいな。
「──星の意思は見ての通りさ。この世界は君たちの世界を許容する……いずれ、また機会があるだろう」
「ええ、そのときはぜひとも良しなに」
「そうだね。僕も、この剣を引き抜きたくはない。今後の活躍も、楽しみにしておくよ」
そう言って、【勇者】はこの場から去っていく……しばらくして、俺はホッと一息。
間違いなく戦闘をしていたら、非常に苦しいものになっていただろう。
《旦那様、星へアクセスが届きました》
「星剣経由でやったのか……そうか、ついに決まったか」
《いかがなさいますか?》
「しばらくは様子見だ。干渉して来たら、相応の対応をさせてもらおう」
──こうして、冒険世界によってアイスプルは正式に認証されるのだった。
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