虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
強者の宴 その15
連続更新です(03/08)
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場所は変わって再び宮殿内部。
中央のコロシアムでは現在、二人の強者が相まみえていた。
「【勇者】と【魔王】、彼らの戦いをこの目にすることができるとは……」
「ふっ、では『生者』も戦ってみるか? あるのだろう、【勇者】の力は?」
「いえ、遠慮しておきます……それに、私のモノは生産に特化しておりますので」
嗾けようとする『騎士王』にそう答え、眼下で繰り広げられる死闘をジッと眺める。
俺の【生産勇者】は戦闘能力を削って生産能力を高めたんだから、勝てるわけがない。
現に行われている戦闘は、高い能力値を生かした超音速機動によるもの。
観測自体はエクリの補助で可能だが、実際に戦うとなると……厳しいだろう。
「では、賭けをしないか? どちらが勝つのか……」
「遠慮しておきましょう。なんというか、アレは──勝負ではないでしょうから」
超高速で動く【勇者】だが、【魔王】にはそれらをあっさり捌かれている。
むしろ余裕そうな雰囲気で、未だに剣を鞘から抜いていない。
「あの剣……『生者』、お前の物だな」
「『鏖剣[銀閃]』、その剣身は他者を傷つければ傷つけるほど鋭く硬くなります」
「なんと恐ろしい物を。だが、今はその剣を使っていないというわけか」
「……実力に差があり過ぎるんですよ。おそらく、これまで存在したどの【魔王】よりも強いんですから。たとえ、覚醒した【勇者】であろうと一筋縄ではいきません」
戦っている【勇者】は覚醒していた。
その職業名は【冒険勇者】、この世界が公認したオンリーワンな【勇者】様だ。
なお、【魔王】は純粋に【魔王】だが、それが弱いという意味ではない。
事実、ドッペルゲンガーの【魔王】だからこそ、その戦い方は無限に存在する。
「あの動きは『拳王』のものか。剣の捌き方は【剣王】。時折、私の魔力操作も真似しているようだな」
「『騎士王』さんは、模倣についてどうお考えですか?」
「それもまた立派なやり方だとは思う。真似たモノが我流ではなく、確立した武なのであればなおのこと。型をなぞるだけでも、十二分に意味が在るはずだ。そして、今回の場合は……それ以上の効果だな」
「この場に居る人々は、戦いの中で確立した武がありますものね。【魔王】は誰よりも模倣に長けた存在ですので、それぞれの長所を生かして繋げていますね」
逆に本来のスタイルをいっさい見せることなく、【勇者】を圧倒しているのだから凄いことこの上ないだろう。
だが、【勇者】も黙って敗北を認めるわけにはいかないだろう……握り締めた剣が強く輝いたとき、戦況が大きく動き始める。
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場所は変わって再び宮殿内部。
中央のコロシアムでは現在、二人の強者が相まみえていた。
「【勇者】と【魔王】、彼らの戦いをこの目にすることができるとは……」
「ふっ、では『生者』も戦ってみるか? あるのだろう、【勇者】の力は?」
「いえ、遠慮しておきます……それに、私のモノは生産に特化しておりますので」
嗾けようとする『騎士王』にそう答え、眼下で繰り広げられる死闘をジッと眺める。
俺の【生産勇者】は戦闘能力を削って生産能力を高めたんだから、勝てるわけがない。
現に行われている戦闘は、高い能力値を生かした超音速機動によるもの。
観測自体はエクリの補助で可能だが、実際に戦うとなると……厳しいだろう。
「では、賭けをしないか? どちらが勝つのか……」
「遠慮しておきましょう。なんというか、アレは──勝負ではないでしょうから」
超高速で動く【勇者】だが、【魔王】にはそれらをあっさり捌かれている。
むしろ余裕そうな雰囲気で、未だに剣を鞘から抜いていない。
「あの剣……『生者』、お前の物だな」
「『鏖剣[銀閃]』、その剣身は他者を傷つければ傷つけるほど鋭く硬くなります」
「なんと恐ろしい物を。だが、今はその剣を使っていないというわけか」
「……実力に差があり過ぎるんですよ。おそらく、これまで存在したどの【魔王】よりも強いんですから。たとえ、覚醒した【勇者】であろうと一筋縄ではいきません」
戦っている【勇者】は覚醒していた。
その職業名は【冒険勇者】、この世界が公認したオンリーワンな【勇者】様だ。
なお、【魔王】は純粋に【魔王】だが、それが弱いという意味ではない。
事実、ドッペルゲンガーの【魔王】だからこそ、その戦い方は無限に存在する。
「あの動きは『拳王』のものか。剣の捌き方は【剣王】。時折、私の魔力操作も真似しているようだな」
「『騎士王』さんは、模倣についてどうお考えですか?」
「それもまた立派なやり方だとは思う。真似たモノが我流ではなく、確立した武なのであればなおのこと。型をなぞるだけでも、十二分に意味が在るはずだ。そして、今回の場合は……それ以上の効果だな」
「この場に居る人々は、戦いの中で確立した武がありますものね。【魔王】は誰よりも模倣に長けた存在ですので、それぞれの長所を生かして繋げていますね」
逆に本来のスタイルをいっさい見せることなく、【勇者】を圧倒しているのだから凄いことこの上ないだろう。
だが、【勇者】も黙って敗北を認めるわけにはいかないだろう……握り締めた剣が強く輝いたとき、戦況が大きく動き始める。
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