虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
強者の宴 その05
当たり障りのない会話を、まず『宣教師』と始める。
単刀直入に言ってしまうこともできたが、そこは余裕が欲しかった。
「改めまして……『宣教師』さん、お久しぶりです。原付は今なお現役ですか?」
「うん、活躍は聞かせてもらっているよ。もちろん、『ゲンツキ』もちゃんと使わせてもらっているから安心して。アレ、ゆっくりと景色を眺めながら移動したいときは便利だと思うよ」
「この世界では転移陣もありますし、移動手段としての重用は難しいでしょうか」
「高レベルの人たち向けではないね。でも、速度をそこまで出せない人にはいいかもしれないよ。移動手段だけじゃない、戦闘時にも使えるだろうし」
原付を乗り回す『騎士王』が浮かんだ……いや、それは無いな。
どうせならやはりバイクだが、世界感の合わなさが酷い。
馬型の機械とか動物系で誤魔化すこともできるが、それはもう存在している。
俺が使うことは無いだろうし、その極致に近いメカドラが俺の下には居るからな。
──とまあ、こんな感じの会話をして気を解した後……本題に入る。
橋渡し──『超越者』とお偉い方々とを繋いでいる彼女だからこそ、分かることで。
「『宣教師』さん、現状において私たちはどういった判定をされているのでしょうか?」
「私たち、か……それはいったい、どの集団のことを指しているのかな?」
「可能であれば、想定し得るすべてを教えていただきたいですね」
「ふーん……うん、面白そうだね。なら、相応の答え方をしてあげる。例えばそう、どの集団かを特定しないうえで、知りたいことを教えてあげるとかね」
意図は分からずとも、それが俺にとっての利のある話であることは分かった。
俺が了承すると、楽し気に俺に関係し得る情報を語り始める。
「ある集団は傍観、強く出ることができないがゆえにそのまま。ある集団は警戒、少しずつ力を付けているからね。ある集団は……どうしようもできないよね、うん」
最後だけ苦笑しながら、言い終えた。
すぐに『SEBAS』が推測を終え、俺に関するどの集団の情報かを暴く。
一つ目は『超越者』、これまで通り見ていくことを選ぶようだ。
二つ目は休人、死んでも終わらない彼らが少しずつ暴走することを警戒している。
そして、三つ目──
「星の剣に神の獣、それらを振るう子たちにも驚きだけどね。それ以上に……新たに神へ至った聖女様、もうどうしたらいいか分からなくなるよね」
それは俺の家族に関すること。
すでに関係はバレている……さて、どうしたものか。
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