虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
強者の宴 その04
俺も『猫主』も、共にレベルが高い。
俺のはいろいろと異常だが、『猫主』もそれなりに──魚たちが逃げ出す程度には高い能力値を秘めている。
猫は隠れるのが上手な生き物だが、釣り竿までは隠すことができない。
でも、それが趣味なのだからしょうがないのだ……そこは俺も同意見である。
この世界での釣りは楽しいからな。
俺の場合、方法さえどうにかすれば釣ることはできる……ただし天然モノでは無い。
いずれどうにか方法を見つけて、二人で釣りをしようと約束を交わしていた。
「彼とばかり話をするのは寂しいですね。そろそろ、話に混ぜていただけますか?」
そんな俺たちの会話に入ってくるのは、共に隠し里の兄である『剣矢』。
彼の言葉を聞いた『猫主』は、そのクリクリとした猫の目でジト目をやりだす。
「おミャえは釣りに興味ないにゃろ」
「そんなことはありませんよ。ええ、そうでしょう?」
「──えっ? えっと……まあ、本人がそう言うならそうなんじゃねぇか?」
突然話を振られたのは、彼の弟でもう一人の里長である『剥意』。
しかし、少々戦闘以外への興味が薄く……うん、聞いていなかったようだ。
それからは二人が激しく揉め、俺と弟で宥めるという時間が過ぎて……いきそうだったので、早めに抜けておく。
どうやら本気で互いを意識したからか、それに気づいたのは『剥意』だけだった。
◆ □ ◆ □ ◆
それからも挨拶は続いていく……がまあ、いつも通りの面々なので省略していこう。
パーティーの時間も有限、何よりイベントなどもあるためゆっくりはしていられない。
「『錬金王』たち、『冥王』、『機械皇』、『天死』、『陰陽師』、『白氷』、暗躍街の皆々様、【刀王】、アニストの王族、ドゥーハストの姉妹、『龍王』と【結界王】、【仙王】と『闘仙』……だいぶ挨拶したな」
《先ほど、特級会員たちとの挨拶も済ませておりましたので、旦那様の関係者の中で挨拶が済んでいないのは彼女のみとなります》
「そうだな。さて、どこに居るのやら……と噂をすれば影か」
彼女の方は俺と違い、この場すべての人に挨拶をしていたようだが……どうやらもう他が居ないのかもしれない。
近づいてくる彼女に、ふとそんなことを考えていた。
「やあやあ『生者』君、久しぶりだねぇ」
「──『宣教師』さん。ええ、お久しぶりですね」
「央州が最後だったか……うん、君の活躍は聞いているよ。休人でありながら、よくぞそこまでといった感じだね。何度も連絡はしようと思ったけど、いろいろとあってね。この魔道具はまだ使っていないよ」
「お気になさらずとも。連絡が無いのは、その方が元気な証とも言いますし。『宣教師』さん、少しお話しませんか?」
そんなこんなで、俺たちは語り合う。
彼女にはちょっと、言いたいこともあったからな。
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