虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
強者の宴 その03
いつまでも『騎士王』といっしょに居るのもアレなので、すぐに彼女とは別れた。
そして、事前に見つけていた知っている人の下へ向かう。
「──お久しぶりです、お二方」
「あっ、オジ様だ!」
「えっと、オジ様?」
「このような体を用いてはいますが、中身はお二人もご存じな『生者』です。この度は、パーティー会場のご提供をされたとのことでしたので、挨拶をしに参りました」
「硬いよオジ様……」
「長いよオジ様……」
会場をウロウロする双子の『超越者』。
彼女たちは『千変』と『万化』、千の命と万の術を有したこの異界の主。
かつて、姉妹喧嘩をしていたときに俺はここを訪れている。
……どうやらその時に比べて、互いを大切にしているみたいだ。
「しかし、オジ様……ですか。少々ダンディな呼ばれ方ですが、そういった年齢であることは否定していただけないのですね」
「なら、お兄さんとか?」
「無理、オジ様が一番!」
「……そうですか。オジさんに比べれば、お二人から好意的に見てもらえるということですし、それで満足しましょう。ありがとうございます、お二人とも」
「「えへへ……」」
あまり長くは挨拶をしていられないので、別れを告げて次の場所へ。
どうやら招かれたのは、冒険世界の者たちだけでは無いようで……。
「里長さんたち、居られたのですね」
「君もね。隠れ里とはいえ、それは隠れようとする者が居るからこそ。別世界とも繋がりがあるのは当然だろう?」
イベント世界と休人が呼ぶ世界は、何も休人が来てから生まれた世界ではない。
それまでは各世界との繋がりが非常に少ないからこそ、秘匿されていただけのこと。
だが、里長のような地位であれば、連絡手段なども心得ているのだろう。
森人の族長たち、山人の族長、そして──
「『猫主』さんも、お久しぶりですね」
「にゃっほっほ……お前さんも来ておったのかにゃぁ」
ケットシーたちの代表者、『猫主』もまたここに来ていたようだ。
好々爺といった感じで、猫のひげを弾きながらこちらに返答してきた。
「あれから、順調ですか?」
「……残念じゃが、無理だったにゃぁ。こうにゃったら、ニャシも『プログレス』に期待するしかニャいかにゃぁ」
「『超越者』である『猫主』さんでは使うことができませんよ。私も頑張ってはいますので、いずれは共に成果を語り合いましょう」
「おぉ……そうにゃ、そうにゃよ。それでこそ『生者』にゃ!」
俺と『猫主』は同じ趣味で心を交わし、仲良くなっている。
二人とも共に、アレができないからな……それをどうにかするための同盟だった。
──ちなみに『猫主』の職業は【釣り師】である。
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