虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
招待状 中篇
そんなこんなで、俺は再び人形を稼働して招待を受けることに決めた。
この世界だと招待状の使い道は、現実と同様の証明書以外にも存在する。
まずは証明証の派生版、魔道具として結界突破に使う鍵としての用途。
特定の魔力が無いと入れない結界、鍵になる波長を招待状に仕込んで送ればいいのだ。
そしてこちらの世界オリジナル──招待状そのものが、会場への移動手段になる。
魔法やら魔術を用いて、中に転移術式を刻めばいいだけだ。
言うは易く行うは難し。
割と金の掛かる方法なので、貴族でもそうはできない方法(……まあ、王族はできるけども、王城への侵入を考慮してやらない)。
真に行うことができるのは、ありとあらゆる力を持つ者のみ。
まさしく富、名声、力……そういったものが必要となるのだ。
「技術的にも、媒介となる素材的にも、そもそもの会場的にも……いろいろと必要な物が多くなるからな」
ちなみにだが、招かれたパーティーまでは数日あった。
さすがの『騎士王』も、開始直前で渡すほど落ちぶれてはいなかったようだ。
「悪いが、今回も出番だ。基本的に俺が操縦することになるだろうが、ちゃんとお前が動く時間も用意する」
「──私のことはお構いなどせずとも」
「創造主として、自分で創った物には責任ぐらい取るつもりだ。それに、俺はあまり煌びやかな場所は慣れていなくてな。これからも世話になるついでに、今回で学んできてほしいんだ。頼めるか、『エクリ』?」
俺が語り掛けるのは、つい先日の生産ギルド会談で製作した特典素材を用いた人形。
機械に自我を宿す『プログレス』である、『ハートギア』を搭載した特殊な代物だ。
そのため、カエンのように俺と自然に会話ができている。
今や自分の身に纏う衣装も、いつの間にやら生産していた。
エクリと名を与えたその人形は、燕尾服を着込んでいる。
あのときは無貌だった顔部分も、自分で彫りを入れたようで……美少女になっていた。
何でも、頭に思い浮かんだ顔なんだとか。
使った特典素材は人型では無かったはずなのだが、いったいどこからそんな電波を受信したのやら……結構心当たりがあるけど。
「創者様がそう申されるのであれば……」
「そうそう、俺はそう言っている。お前は戦闘用でも、生産用でもない。個を持ち我を示せる一人の従者として、主である俺……そして俺の家族に利益が出るよう動ける存在になることを願っている」
「畏まりました。創者様、そしてご家族様に恥じぬ働きをさせていただきます」
そうして、彼女は招待状を俺から受け取ることに。
解析はすでに済ませてある……目的地も、ちゃんと分かっていた。
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