加護の危険性後篇

「そもそも、デメリットがデメリットとして機能しない人もいます。ご主人様のように死にやすい人……は少し特殊ですが、さまざまな要因でその能力にマッチする人がいます」

「使う本人は当然のこと、似たような構成であればたしかにそうなるか……まあ、言いたいことは分かるぞ」

《デメリットの問題点を解消する手段があれば、誰でも加護を通じてデメリットを持つ能力の行使が可能となる……ということでよろしいのでしょうか？》

「『ＳＥＢＡＳ』のお考えで合っています。まあもちろん、ご主人様同様に加護レベルを上げてもらう必要がございますが」

　デメリットを持つ能力は、総じてピーキーな性能となっている。
　たとえばショウの『プログレス』ならば、使用後は死に戻りする能力……とかな。

　そうしたデメリットがある分、加護レベル的には比較的容易に使いやすい。
　もちろん、その結果デメリットにやられるのであれば……自己責任です。

「具体的にどういう制限なんだ？」

「ご主人様に行ってもらっているように、加護レベルに応じた能力の解放ですね。どのレベルでどういった能力を使うことができるのか、それはこちらで判断します」

「……大変じゃないのか、それ？　一人ひとりに合わせなきゃいけないわけだし」

「あっ、問題ありませんよ。『プログレス』のデータを参照し、本人の適性などを簡易的に判断できるようにしてあります」

　なるほど、［ステータス］を見ることができる『プログレス』であれば、そちらの情報から把握できるのか。

「ただし、移植した方限定ですね。装備タイプでは、上手く情報が読み取れません。そもそも、移植した方にのみ加護を与える予定ですので、問題は無いと思いますが」

「そこら辺の事情はいいか……加護で再現ができることは分かった。これから先、加護を得た奴らがプログレスを頼って能力を使うことになると思うけど。何か、注意しておかないといけないことってあるのか？」

「そう、ですね……単純な話、他者の能力を使うと、自身の能力に影響が及びます。それが正の方向か負の方向か、そこはその人によると思いますが」

「他者の力は、その分その能力に与えられた意志を汲み取るということだし……使えば使うほど、それに引っ張られる可能性があるのか。逆に、その力を自分の能力にも組み込みたくなったり、要らなくなったりするし」

　そういうシステムがあるからこそ、使い方に関して一考しなければならなくなる。
　俺や『超越者』のように能力が無い、もしくは一点特化の能力でも無いとな。

　──本当、難しい問題だよ。