虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
息子の悩み 後篇
息子の最近の悩みは、ヒロインが多すぎることだそうです。
本人に言ったら間違いなく怒るだろうが、あながち間違っていないのもまた事実。
最終手段は瑠璃に相談。
これをした場合、必ずラブコメ的な展開になることが確定するため、同じく相談された娘も避けたいと思っている。
無難なアイデアが出るであろう父を頼り、それに俺も応えた。
唸りに唸り、考えること数分……答えを二人に告げる。
「まず、翔はどうしたい? 彼女たちの問題に介入したいのか? それとも、自分は何もせずとも解決する方法を探したいのか?」
「……俺が何もやらなくていいなら、それに越したことはないけど。俺が当事者っぽいこともあるし、必要なら何でもやる」
「そうか……なら、答えは一つだ。翔、お前からは何もしなくていい」
「…………えっ?」
不思議そうな表情を浮かべてくる。
まあ、たしかにこれが転生ゲーとかで、事前に分かっている問題だった……という感じであれば、対策をする必要があった。
しかし、そんな事前知識でヌルゲーにできないのが現実だ。
そして何より、俺は本当に何もしないとは言っていない。
「お前から女の子たちに、何かする必要は無いってだけだ。導火線に火が点いていない爆弾なら、火薬があるって意味じゃ花火も同じだろう? それなら、しっかりと火が付かないようにするだけでいい」
「……危なくなるまでは、放置ってこと?」
「そうは言ってないだろう。火が付くにしても、周りに飛び火がしないようにしたり、安全な場所で火を付けろということだ。アレだぞ、母さんの時もな……まあ、突然問題が起きて大変なことになったんだ」
「「……なんとなく分かる気がする」」
二人とも分かってくれたようで何より。
瑠璃の望む展開に特段反作用などが起きたことは無いが、周りがいっさい悪影響に飲まれないというわけではない。
高額の宝くじが当たれば知人が増えるのと同様、何かしら周りにも影響が出る。
瑠璃がやることなすことに、誰もが肯定的なわけじゃなかったのだ。
「──なんてことにならないように、一つずつやっていくのが一番なんだよ。先んじてどうにかしようとして、火種が発火したら周りも巻き込んでドーンだ。だから、その前にやらなきゃいけないことがある」
「……その、やらなきゃいけないことは?」
「せっかく分かっているんだ。まず、関係者について可能な限り知っておけ。それで、お前の仲間と最終的にどうなればいいのかを考えて、その問題が起きたときに対処する……まあ、基本はこれだな」
「普通だね」
ごもっともで。
けどまあ、基本が初歩で定番で……一番に心がけることだからな。
実際にやってみれば、その重要性も分かるだろう。
あくまでも、瑠璃とのあれやこれで学んだ経験からはそうとしか言えないな。
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