虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭後篇 その17
連続更新です(12/12)
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亜空間、それは創作物において定番の概念ではなかろうか。
EHOでも[ストレージ]として休人全員が、その恩恵にあやかっているようなもの。
理論はいくつかあるが、今回は科学的なものではないだろう。
種族としての能力か、優れた空間系の魔法が使えるのかのどちらかだ。
「──というわけで、『空間針』を取り付けたコンパスを使います」
本来は方位を調べるための針が、隠された空間に反応する物になっている。
適当に歩いていると、不自然に動き出した針……その反応が強い方へ向かう。
「ブレにブレて、辿り着いた先で……うん、ここだな──『空間進』」
同名なドアノブ型の魔道具を、見つけた亜空間の反応が強い場所に重ねる。
そこはこの世界と亜空間を繋ぐ接点、そこに『空間進』を置くことで抉じ開ける。
「『SEBAS』、中はどうだ?」
《生体反応は一つ。おそらく、当たりかと》
「そりゃあいい……じゃあ、行きますか!」
ガチャリとドアノブを捻れば、空間がドアの形で切り取られて道を生み出す。
歪む視界も何のその、俺はその先へ歩を進めるのだった。
◆ □ ◆ □ ◆
捩じれを通って、辿り着いた果て。
人族が使うようなアイテムが散乱するそこに、森獣が居た。
『ヒッ! だ、誰ですか!?』
ただし、その先に居たのは──人だ。
正確には、人の形をした魔核の持ち主。
要するに人化をした森獣、そんな個体が亜空間に侵入した俺に驚いている。
外見上、人化した森獣は獣人族と変わらない見た目になる。
彼、あるいは彼女の場合、中でも獣耳族の子供の姿だ。
「人化した森獣様……ですか。初めてお目見えしました」
『……その、本当は祭りの間は、ずっとあっちの姿じゃないとダメって決まりだから。だから、あの──』
「理解しております。貴方様のお姿に関しては、誰にも話しません。ただ……聖獣様に聞かれた場合は、ご容赦願いますが?」
『う、うん。聖獣様は、僕がこっちの姿でいることも、笑って許してくれるから』
なんとも心の広いお方なようで。
まあ、面白そうだからという考えが無いわけでもないんだろうが……それにこの森獣が救われているのもまた事実、か。
「申し遅れました。私、『生者』と名乗っている者です。世間一般には、『超越者』の末端……と認識されております」
『『生者』……ってもしかして、あの黒いヤツが来た時に来てくれた!?』
「え、ええ……そうですが?」
突然距離を近づけてきた森獣。
どうしてそうしてくるのかさっぱり分からないが、何やら目がキラキラとしている……本当、どうしてだろうか?
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亜空間、それは創作物において定番の概念ではなかろうか。
EHOでも[ストレージ]として休人全員が、その恩恵にあやかっているようなもの。
理論はいくつかあるが、今回は科学的なものではないだろう。
種族としての能力か、優れた空間系の魔法が使えるのかのどちらかだ。
「──というわけで、『空間針』を取り付けたコンパスを使います」
本来は方位を調べるための針が、隠された空間に反応する物になっている。
適当に歩いていると、不自然に動き出した針……その反応が強い方へ向かう。
「ブレにブレて、辿り着いた先で……うん、ここだな──『空間進』」
同名なドアノブ型の魔道具を、見つけた亜空間の反応が強い場所に重ねる。
そこはこの世界と亜空間を繋ぐ接点、そこに『空間進』を置くことで抉じ開ける。
「『SEBAS』、中はどうだ?」
《生体反応は一つ。おそらく、当たりかと》
「そりゃあいい……じゃあ、行きますか!」
ガチャリとドアノブを捻れば、空間がドアの形で切り取られて道を生み出す。
歪む視界も何のその、俺はその先へ歩を進めるのだった。
◆ □ ◆ □ ◆
捩じれを通って、辿り着いた果て。
人族が使うようなアイテムが散乱するそこに、森獣が居た。
『ヒッ! だ、誰ですか!?』
ただし、その先に居たのは──人だ。
正確には、人の形をした魔核の持ち主。
要するに人化をした森獣、そんな個体が亜空間に侵入した俺に驚いている。
外見上、人化した森獣は獣人族と変わらない見た目になる。
彼、あるいは彼女の場合、中でも獣耳族の子供の姿だ。
「人化した森獣様……ですか。初めてお目見えしました」
『……その、本当は祭りの間は、ずっとあっちの姿じゃないとダメって決まりだから。だから、あの──』
「理解しております。貴方様のお姿に関しては、誰にも話しません。ただ……聖獣様に聞かれた場合は、ご容赦願いますが?」
『う、うん。聖獣様は、僕がこっちの姿でいることも、笑って許してくれるから』
なんとも心の広いお方なようで。
まあ、面白そうだからという考えが無いわけでもないんだろうが……それにこの森獣が救われているのもまた事実、か。
「申し遅れました。私、『生者』と名乗っている者です。世間一般には、『超越者』の末端……と認識されております」
『『生者』……ってもしかして、あの黒いヤツが来た時に来てくれた!?』
「え、ええ……そうですが?」
突然距離を近づけてきた森獣。
どうしてそうしてくるのかさっぱり分からないが、何やら目がキラキラとしている……本当、どうしてだろうか?
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