虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭後篇 その16
連続更新です(11/12)
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最初は最後の許可は風兎に貰い、なんとかできるだろうと思っていた。
だが、残念なことに対象となるのはこの森の中の森獣に限定されているとのこと。
そう考えて、改めて考えてみた。
加護はともかく、森獣が八つの区画以外のどこにいるのかを。
「──まあ、ここだよな。中央区、幼い守護獣の候補者を育成する地。なればこそ、許可が出せるぐらいに成長した森獣に出してもらえる可能性がある」
そもそも九つの区画と九つの許可なのだから、これしか最初から選択肢が無かった。
改めて周囲を見渡し、ある程度成長した森獣が居ないかを探してみる。
だが、どこを見ても居るのは幼子ばかり。
そういう場所なので、当然と言えば当然なのだが……さすがに候補者であって、核をまだ有していない子供では難しいだろう。
「魔核レーダーなら……ん? 弱々しいが、一つだけあるな」
ちなみにそれは聖獣のものでは無かった。
聖獣は魔核が昇華した聖核を有しているので、レーダーでは探し出すことができない。
それでも実力を持ち、確固たる意思を秘めていることに違いは無いのだ。
つまりそれは、森獣として許可を出すことができる個体が居る証だった。
「場所は……少し外れているのか。まあ、それぐらいしないと見つかっていたよな」
レーダーを頼りに、移動を開始する。
中央区は基本他の区画から隔絶された結界の中にあるので、中央区の端に居れば大半の奴には会うことがないだろう。
「っ……消えた?」
だが、歩いている途中でそんな森獣の反応が消失した。
間違いなく反応はあった、しかしなぜ消えたのか皆目見当がつかない。
「とりあえず……現場に行ってみるか」
目指していた場所は覚えているので、そちらへそのまま移動を続ける。
そこは結界が可視化され、壁があると主張している果ての部分。
それまではあった森獣の反応は無く、俺の死亡レーダーも警鐘を鳴らしていない。
つまり、フィールドのどこかに隠れているというわけではないようだ。
「となると、可能性は二つ。一つ、俺たちを欺ける能力か何かを持っている。二つ、そもそもこの場所からいなくなった……だ」
おそらく、二番が正しいだろう。
俺を欺くということは、生命として必要最低限持っているであろう能力値を完全に偽れるということ。
職業に就いている、もしくはそういう特殊な個体ならともかく、守護獣候補では難しいはずだ。
「つまり、この中央区内に亜空間みたいなものがあるってのが俺の仮説だ」
《──さすがは旦那様です》
「よかった、これで確信も得られた。なら、さっそく探そうか」
ここいらのどこかに居るはずだしな。
必要なアイテムを準備して、すぐに駆け付けてやろう。
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最初は最後の許可は風兎に貰い、なんとかできるだろうと思っていた。
だが、残念なことに対象となるのはこの森の中の森獣に限定されているとのこと。
そう考えて、改めて考えてみた。
加護はともかく、森獣が八つの区画以外のどこにいるのかを。
「──まあ、ここだよな。中央区、幼い守護獣の候補者を育成する地。なればこそ、許可が出せるぐらいに成長した森獣に出してもらえる可能性がある」
そもそも九つの区画と九つの許可なのだから、これしか最初から選択肢が無かった。
改めて周囲を見渡し、ある程度成長した森獣が居ないかを探してみる。
だが、どこを見ても居るのは幼子ばかり。
そういう場所なので、当然と言えば当然なのだが……さすがに候補者であって、核をまだ有していない子供では難しいだろう。
「魔核レーダーなら……ん? 弱々しいが、一つだけあるな」
ちなみにそれは聖獣のものでは無かった。
聖獣は魔核が昇華した聖核を有しているので、レーダーでは探し出すことができない。
それでも実力を持ち、確固たる意思を秘めていることに違いは無いのだ。
つまりそれは、森獣として許可を出すことができる個体が居る証だった。
「場所は……少し外れているのか。まあ、それぐらいしないと見つかっていたよな」
レーダーを頼りに、移動を開始する。
中央区は基本他の区画から隔絶された結界の中にあるので、中央区の端に居れば大半の奴には会うことがないだろう。
「っ……消えた?」
だが、歩いている途中でそんな森獣の反応が消失した。
間違いなく反応はあった、しかしなぜ消えたのか皆目見当がつかない。
「とりあえず……現場に行ってみるか」
目指していた場所は覚えているので、そちらへそのまま移動を続ける。
そこは結界が可視化され、壁があると主張している果ての部分。
それまではあった森獣の反応は無く、俺の死亡レーダーも警鐘を鳴らしていない。
つまり、フィールドのどこかに隠れているというわけではないようだ。
「となると、可能性は二つ。一つ、俺たちを欺ける能力か何かを持っている。二つ、そもそもこの場所からいなくなった……だ」
おそらく、二番が正しいだろう。
俺を欺くということは、生命として必要最低限持っているであろう能力値を完全に偽れるということ。
職業に就いている、もしくはそういう特殊な個体ならともかく、守護獣候補では難しいはずだ。
「つまり、この中央区内に亜空間みたいなものがあるってのが俺の仮説だ」
《──さすがは旦那様です》
「よかった、これで確信も得られた。なら、さっそく探そうか」
ここいらのどこかに居るはずだしな。
必要なアイテムを準備して、すぐに駆け付けてやろう。
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