虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭後篇 その11
連続更新です(06/12)
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さすがは『SEBAS』、指示された通りに動く俺は警戒網に引っかからずにいる。
時にしゃがみ、時に光学迷彩を弄り、時に道を変え……森獣『告鳥』の索敵を躱す。
これまでよりも高性能な索敵だが、やり方自体は分体と変わらない。
だからこそ、対したピンチも無く通ることができた……これまでは。
《旦那様》
《ああ、分かっている。なんというか、いきなり危険度が上がったな》
おそらく、俺よりも前がさまざまな理由でいなくなったのだろう。
ゴールしたのか、それとも退場させられたのか……いずれにせよ、もう居ないのだ。
そのため、周りに力を割く必要が無くなるわけで……森獣もさらに一人に集中できる。
その結果が、視界に映る森獣の警戒を表す色が一色に染まるほど調べられている現状。
《仕方ないか。こうなったら、強引に突破してみよう》
《……よろしいのでしょうか?》
《やるしかない。たまには、こういうのもいいと思うぞ》
取りだすのは小さな球体。
ゴムボールのように見えるそれには、かつて無数の薬草を混ぜて創りだしたあるモノが封じてある。
これからそれを使い、ほんの一瞬でも生まれるであろう隙を突く。
もちろん、一度切りしか使えないであろう小手先の技であるのは重々承知だ。
それでもやるというのはリスクが高い。
このままずっと居て、他の参加者が同じ領域まで来るのを待てば、確実にゴールできると『SEBAS』も言っている。
だが、やはりここぞのタイミングで勝負をしておきたかった。
意味なんてない……それでも、盛り上がりたいからな。
《それじゃあ、視覚サポートを頼む》
《畏まりました──ご武運を》
《ああ、行くぜ──そらっ!》
ボールを少し手前に叩き付ける。
その瞬間、この区画すべてを包むような濃密な黒霧が溢れ出す。
その瞬間、俺は駆けだした。
こういうアイテムの使用も禁止ではない、それでも防げると自信があるからだろう。
現に特殊な技術で視界を確保している俺の目には、霧を振り払う森獣の姿が見える。
そのはばたきごとに、見る見るうちに霧がどこかへ消え去っていく。
だからこそ、俺は走る。
ここからは土壇場勝負、見つかってアウト判定になれば、俺は加護を妥協しなければいけなくなるだろう。
《そんなの、つまんないからな!》
《──『エアボード』を転送します。搭乗を確認、結界による座標固定……成功です》
《魔力供給っと。ジェットでぶっ飛ばして行こうか!》
俺の魔力を注ぎ、動き出す板。
板の裏と後ろには、魔力を風エネルギーに変換して噴出することができる魔道具だ。
《旦那様。来ました》
《なら、ポーションも飲んで……行くぞ!》
一瞬で俺の魔力を全開させ、それをすぐに装置に注ぐ。
勢いを増したボードは、俺を結界でへばりつけたまま突き進む。
後ろから鳥の鳴く声が聞こえる。
何をするつもりなのか、分かるが……振り払い、ただ直進することだけを考えた。
──そして、その先には……。
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さすがは『SEBAS』、指示された通りに動く俺は警戒網に引っかからずにいる。
時にしゃがみ、時に光学迷彩を弄り、時に道を変え……森獣『告鳥』の索敵を躱す。
これまでよりも高性能な索敵だが、やり方自体は分体と変わらない。
だからこそ、対したピンチも無く通ることができた……これまでは。
《旦那様》
《ああ、分かっている。なんというか、いきなり危険度が上がったな》
おそらく、俺よりも前がさまざまな理由でいなくなったのだろう。
ゴールしたのか、それとも退場させられたのか……いずれにせよ、もう居ないのだ。
そのため、周りに力を割く必要が無くなるわけで……森獣もさらに一人に集中できる。
その結果が、視界に映る森獣の警戒を表す色が一色に染まるほど調べられている現状。
《仕方ないか。こうなったら、強引に突破してみよう》
《……よろしいのでしょうか?》
《やるしかない。たまには、こういうのもいいと思うぞ》
取りだすのは小さな球体。
ゴムボールのように見えるそれには、かつて無数の薬草を混ぜて創りだしたあるモノが封じてある。
これからそれを使い、ほんの一瞬でも生まれるであろう隙を突く。
もちろん、一度切りしか使えないであろう小手先の技であるのは重々承知だ。
それでもやるというのはリスクが高い。
このままずっと居て、他の参加者が同じ領域まで来るのを待てば、確実にゴールできると『SEBAS』も言っている。
だが、やはりここぞのタイミングで勝負をしておきたかった。
意味なんてない……それでも、盛り上がりたいからな。
《それじゃあ、視覚サポートを頼む》
《畏まりました──ご武運を》
《ああ、行くぜ──そらっ!》
ボールを少し手前に叩き付ける。
その瞬間、この区画すべてを包むような濃密な黒霧が溢れ出す。
その瞬間、俺は駆けだした。
こういうアイテムの使用も禁止ではない、それでも防げると自信があるからだろう。
現に特殊な技術で視界を確保している俺の目には、霧を振り払う森獣の姿が見える。
そのはばたきごとに、見る見るうちに霧がどこかへ消え去っていく。
だからこそ、俺は走る。
ここからは土壇場勝負、見つかってアウト判定になれば、俺は加護を妥協しなければいけなくなるだろう。
《そんなの、つまんないからな!》
《──『エアボード』を転送します。搭乗を確認、結界による座標固定……成功です》
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俺の魔力を注ぎ、動き出す板。
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《旦那様。来ました》
《なら、ポーションも飲んで……行くぞ!》
一瞬で俺の魔力を全開させ、それをすぐに装置に注ぐ。
勢いを増したボードは、俺を結界でへばりつけたまま突き進む。
後ろから鳥の鳴く声が聞こえる。
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