虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭後篇 その10
連続更新です(05/12)
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九つ目の休憩地点へ辿り着いたその瞬間、気づかされることになる。
これまでの警戒などお遊びであり、ここからが本番だということを。
外敵を調べるための探知網は幅広く、細かな情報を暴いている。
休憩地点だけが意図して外されている、それが分かるほどに強烈なスキャンだった。
《これは……イケるか?》
《一度にすべてを把握しているわけではないようです。不可能ではない、と申し上げますが……今の旦那様ですと、探知網に引っかかれば発見されてしまうかと》
《なるほど、正直で結構。だとすれば、どうすればいいのか……ここを意図して外しているように、今回の祭りの期間だけは万全の監視にしていないはずだ》
事実、子供用の順路だと何人か達成者が出ているとのこと。
意図的に外すことができるなら、森獣も予想外の弱点があるかもしれない。
《鳥の視界は種類によって違うし、見ることのできるものにも差がある。磁場を捉えたり特定の色を認識できたり、夜目だったりするからな……何より森獣ってヤツは、そんな基になった鳥のメリットだけを持っているし》
同じ森獣である風兎から聞いた話だが、そういう生物として優れた性質があるそうだ。
なので夜を狙うとか、隙のありそうな角度から狙うというのは難しい。
弱点を狙うのであれば、鳥という生物全般が苦手としているものを狙うしかないのだ。
《とはいえ、攻撃すると詰むから羽を狙うわけにもいかないし……調べるしかないか。頼めるか?》
《──そうです。私もまた、旦那様の生産によって創られた存在。頼っていただけて、後衛でございます》
《悪いな。けどまあ、ここからは頼らせてもらうぜ》
普通の人々が使えるスキルがほとんど使えない以上、それ以外に頼る必要がある。
大半のスキルは魔道具で補うにしても、こういう状況で必要な解析は任せたい。
そもそもあまり数が存在しないし、あっても確実に『SEBAS』に劣る性能だ。
だからこそ、最適な手段を選ぶのであれば身を委ねるのが一番だろう。
《──最適なルートを解析。森獣『告鳥』の視覚、および死角と索敵範囲を予測……成功しました。表示いたしますか?》
《無論、YESだ》
そう答えると同時に、網膜に浮かぶのは無数の色。
それらは危険度を表したもので、色の無い部分を通ることでゴールへ安全に向かえる。
《これならいける、と今は思える。随時情報は更新して、俺をゴールへ導いてくれ》
《畏まりました》
言っていることが最低な自覚はあるが、それでもここまで来たのだからやり遂げたい。
その一心を胸に、俺は休憩地点から先へ進むのだった。
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九つ目の休憩地点へ辿り着いたその瞬間、気づかされることになる。
これまでの警戒などお遊びであり、ここからが本番だということを。
外敵を調べるための探知網は幅広く、細かな情報を暴いている。
休憩地点だけが意図して外されている、それが分かるほどに強烈なスキャンだった。
《これは……イケるか?》
《一度にすべてを把握しているわけではないようです。不可能ではない、と申し上げますが……今の旦那様ですと、探知網に引っかかれば発見されてしまうかと》
《なるほど、正直で結構。だとすれば、どうすればいいのか……ここを意図して外しているように、今回の祭りの期間だけは万全の監視にしていないはずだ》
事実、子供用の順路だと何人か達成者が出ているとのこと。
意図的に外すことができるなら、森獣も予想外の弱点があるかもしれない。
《鳥の視界は種類によって違うし、見ることのできるものにも差がある。磁場を捉えたり特定の色を認識できたり、夜目だったりするからな……何より森獣ってヤツは、そんな基になった鳥のメリットだけを持っているし》
同じ森獣である風兎から聞いた話だが、そういう生物として優れた性質があるそうだ。
なので夜を狙うとか、隙のありそうな角度から狙うというのは難しい。
弱点を狙うのであれば、鳥という生物全般が苦手としているものを狙うしかないのだ。
《とはいえ、攻撃すると詰むから羽を狙うわけにもいかないし……調べるしかないか。頼めるか?》
《──そうです。私もまた、旦那様の生産によって創られた存在。頼っていただけて、後衛でございます》
《悪いな。けどまあ、ここからは頼らせてもらうぜ》
普通の人々が使えるスキルがほとんど使えない以上、それ以外に頼る必要がある。
大半のスキルは魔道具で補うにしても、こういう状況で必要な解析は任せたい。
そもそもあまり数が存在しないし、あっても確実に『SEBAS』に劣る性能だ。
だからこそ、最適な手段を選ぶのであれば身を委ねるのが一番だろう。
《──最適なルートを解析。森獣『告鳥』の視覚、および死角と索敵範囲を予測……成功しました。表示いたしますか?》
《無論、YESだ》
そう答えると同時に、網膜に浮かぶのは無数の色。
それらは危険度を表したもので、色の無い部分を通ることでゴールへ安全に向かえる。
《これならいける、と今は思える。随時情報は更新して、俺をゴールへ導いてくれ》
《畏まりました》
言っていることが最低な自覚はあるが、それでもここまで来たのだからやり遂げたい。
その一心を胸に、俺は休憩地点から先へ進むのだった。
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