虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
聖獣祭中篇 その19
選ばれた者だけが入ることのできる場所。
森獣たちが周りを守護し、聖獣が直接管理する大森林の中央区。
そこへ向かうためには、まず資格を集めなければならない。
それを持って転移陣に乗ることで、中央区の結界を超えて中に入ることができる。
「許可を持つ者の前に、扉は開かれる……前はアレだったけどな」
俺の中に預けられた許可証が光り輝き、転移陣が呼応した。
やがて俺の視界が一瞬光に包まれると……そこでは、異なる光景が広がっている。
俺もかつては足を踏み入れたが、それは少しトラブルが起きている最中だった。
その時は漂っていた禍々しい霧も、今は綺麗さっぱり無くなっている。
「うん、前回も思ったけど……ここはある意味、モフモフ天国だな」
周囲の九つの区画を守護するのは、成体になった森獣たちだ。
では、幼体たちはどうなのか……答えは、中央区で育てられている、である。
前回も見た多種多様な森獣の幼体たちが、この区画のあちこちで歩き回っていた。
まあ、これを目的に頑張った非戦闘職なども居るんだろうな。
「ここには、これまでの祭りで優秀な成績を出した屋台が集まっているんだな。事前に報酬を貰った上で、ここに来た者なら誰でも無料のもてなしを受けることができるわけだ。いやー、これなら誰でも喜べるな」
一部は有料だが、基本的に何かしらは無料でやっているみたいだ。
武人なら武器の手入れをしてもらっているようだし、料理を食べていたりもする。
俺もいくつか料理に手を伸ばし、その味について『SEBAS』と話してみたり。
ずっとこの場所に居てもいい……が、他にもやりたいことがあるからな。
「……結局、どうすればいいんだろうか」
《旦那様はどうされたいのでしょうか?》
「まあ、面倒事になりそうだから避けてはいたけど……うん、そうだな。大人なんだし、ケジメは付けておきたいとは思うぞ」
五つの許可を得て、俺はここまでやってきたのだが……あえて特定の場所を通らずに、どうにか突破したと言っても過言ではない。
なのでそれを解消するためには、必ずそこで出会わなければならない──森獣に。
「それに、どうせなら最後までやった方がいいだろう。森獣の加護だけじゃなくて、聖獣の加護も貰ってしまおうか」
だが、それをするためには中央区に来るためだけではダメなのだ。
許可九つ、それだけ集めなければ聖獣に会うことはできない。
「中央区以外に八つ、そしてここでもう一つ得ないとダメなんだよな……」
この無理難題、果たしてどう達成するべきか……うん、今日が終わる前に答えを見つけておこうか。
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