虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭中篇 その08
今の俺は攻撃が必ず通り(ただし1)、死亡判定時には自爆する。
本来なら、死亡するような攻撃を受けたら退場だが……俺の生命力だとな。
あまりに生命力が無さ過ぎて、死にまくっているので仕方がない。
聖獣様でもカバーできないほど、虚弱な俺が悪いわけだ。
「というわけでドーン!」
『GUGYAAA!?』
「続けてドーンドーン!」
『『GYAAAAAA!!』』
俺はただ歩くだけ、魔物がそれに触れた瞬間に爆弾は起動する。
いちおう『静寂の狩人』が発動しているため、爆発の音がやや減衰していた。
本来は森で隠れ、こっそりと攻撃するための[称号]なんだろうけども。
雑音を減らす、という効果なんだが……爆発音って、雑音なんだろうか?
「『貧弱な武力』で1は通り、『人間爆弾』でダメージが入る。『魔王殺し』が全魔物へのダメージ量を上げて、『素人武人』で武技の伴わない攻撃に補正が入る。証拠隠滅の方は『静寂の狩人』でバッチリっと」
加えて、『生者』が統合した生死に関する[称号]があるからな。
死んでもすぐ蘇るし、死亡後も少しの間だけ動くことができた。
「職業は……まあ、さほど使ってないけど。まあ、今回は気分だな」
経験値稼ぎに【試験職】も就いており、その職業スキルを解放するために溜めている。
ありとあらゆるスキルへの適性が入る、万能の能力だしな……俺は使えないけど。
「職業ごとの相剋で、本当は使えなくなるスキルが多いらしいけど。【救星者】はそういうところ寛大だからな……代わりに特段補正してくれるスキルも無かったけど」
剣士は剣を、魔法使いは魔法を。
それぞれの職業に適したスキルがあり、それに関する補正が職業には存在する。
俺のメイン職である【救星者】は、サブ職へ就ける代わりにそれがいっさい無かった。
どうせ新スキルが手に入るとは思わないものの、やはり無いというのは寂しいからな。
「──しかしまあ、どんどん死んでいくな。恐ろしいのは、まだ[称号]を組み替えれば火力を上げられるってことか」
隠れる必要も無いなら、爆弾の性能を向上させる[称号]をセットすればいい。
あと、職業にも爆弾関係の物がある……戦闘系にも、生産系にも。
魔物に文字通り人間爆弾として突っ込み、死んでは辺りに被害を残して爆発する。
だが当の本人はすぐさま肉体を再構築し、何事も無かったかのように歩いていく。
「魔核持ちの個体は……うん、そろそろか」
爆発でも壊れない、俺と生体リンクをしてあるレーダーを確認しながらそう呟く。
他の獣人たちとぶつからなきゃいいが……世の中そう、思う通りに行くだろうか?
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