虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭中篇 その07
お次に向かうのは南……ではなく北西。
これまでとは真逆(場所もイベントも)なこちらに来たのは、そろそろセルフでの戦闘もやってみようと思ったからだ。
「北西は純粋なバトル。ルールを用意してある西と違って、たとえ死んでも自己責任扱いになるって場所だしな」
まあ、ちゃんと治癒班が待機していて、可能な限り治しているようだけども。
それにこの期間中は聖獣様の力で、区画ごとに命の保護設定がされているらしいし。
「それじゃあ、まずは──『インストール:バトルラーニング』」
体を無理に動かし、最適な戦闘を強制する『プログレス』を起動。
知覚できるすべての攻撃を、これで捌けるようになった。
「ついでに“神持祈祷:ヴィジョンアイ”」
知覚できない攻撃を、先読みすることで事前に把握できるよう祈った。
未来視の能力によって、いつどのタイミングで攻撃が来るかが分かるようになる。
まあ、祈った方は初期状態での使用となるため、さほど使えないのだけども。
あくまでも最低限、切っ掛けづくりのためなのでこれで構わない。
「ここの条件はたしか……一定数の魔物の討伐か直接森獣と戦って、実力を認められることが条件だったっけ?」
《いかがなさいますか?》
「そのどっちでも、許可は貰えるみたいだけど……やっぱり戦わないと、加護の方が難しそうだしな。あと、単純に数をやるのが面倒臭いから一気に終わらせたい。となると、どこかにいる森獣を探した方がいいだろう」
魔核レーダーを起動するが、この区画には複数体の個体の反応があった。
さすがは戦闘用の区画、魔獣を何体か取り揃えているようだ。
「まあ、全部探せば見つかるだろう。そもそもまだ馴染んでいないし、ちゃんと戦えるようにしていこう──“職業系統樹”っと」
戦闘系の職業を俺はあまり持っていない。
だが、強者と関わったことで強制的に解放された職業がいくつかある。
「【聖騎士】、それに【竜戦士】。これが今の二大戦力だな……他にもあればいいのに。あっ、他は万能にできるよう【聖職者】でも組み込んでおくか。あとは……適当で」
前者は『騎士王』、後者は『龍王』……今じゃ元『龍王』の協力で得た職業だ。
ちゃんとクエストも受けて、面倒な手続きではあったがな。
それに加え、回復ができる【聖職者】や他にもいくつか職業を選んでおく。
「こっちは……『貧弱な武力』、『静寂の狩人』、『人間爆弾』、『魔王殺し』、『素人武人』をセットしておくか」
最後に[称号]も考えて……準備は万端、戦闘開始といきますか。
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