虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭前篇 その10
水を操る、水そのものになれる森獣。
ターゲットがそんなヤツなので、俺もどうしようもなくなっていた。
「……まあ、水中でゆっくり考えるのはこの辺にしておこう」
すでに浅い場所は探し終え、現在は正方形のプールの奥深くへ潜っていた。
普通なら呼吸などできないはずだが、こちらも職業や[称号]の効果で緩和している。
それでも酸素が減って、時間経過で生命力が減少した。
俺の場合は1しか無いので、すぐに死んでは『生者』の権能で蘇生している。
結界を体に纏っているのだが、普段使いの状態なので空気や液体などを通す仕様。
そのため水は口の中に入り、死んでは蘇るといういつものパターンを繰り返していた。
……えっ、音声式に切り替えた?
改めて考えたら、俺に結界の設定なんて変えられないんだから、そのままでもできる範疇でやった方がいいって思ったんだよ。
閑話休題
そんなこんなで、再び『SEBAS』とは思念式のやり取りを行う。
どちらであろうと、完璧な対応をしてくれる辺りが完璧な執事である。
《ちなみに、『SEBAS』はもう場所を特定しているのか?》
《──はい》
《そうか……なら、俺も頑張らないとな》
知っていても、それは聞き出さない。
今は自分で探すと決めていたので、そのままを貫くつもりだ……もちろん、本当にダメならギブアップをして次に行くけどな。
《職業由来の探知も鑑定も通じないし、別の方法を取るべきだな……電気を使ったら、来てくれるだろうけど間違いなく排除か》
一番手っ取り早い方法なのだが、残念なことにそれではダメだろう。
ならば次は、と考えに考えて……過去に作り上げていた物を思い出す。
《あー、アレが有ったな》
そう思い、[ストレージ]を操作して中からアイテムを取りだす。
某玉を探す物語をイメージしたせいか、アレと同じ形をした魔道具。
《魔核レーダー!》
一定以上の強さを得た魔物は、その身に魔核と呼ばれる第二の心臓を生成する。
これはその反応を掴み、場所を特定するというものだ。
その精度は30%ほど。
魔物ごとに核の波動は違うので、共通部分だけで探しても時間がかかる……が、ここはその森獣と同一化した水の中。
それを解析すれば──特定できるわけだ。
◆ □ ◆ □ ◆
しばらくして、その反応を見つけた。
場所は予想通りこのプールの中、具体的には水底の……ではなく、まさに中央部分。
プールで遊ぶ獣人たちが生みだす水流に乗り、このプールの至る所を彷徨って場所の特定をさせていなかったようだ。
見つけた場所には、よーく見なければ分からない小さな球体が漂っていた。
しかも獣人たちが近づくと、スッと動いているのでなかなか意図的に触れない。
《あとはマジックハンドで……来た!》
魔力の消費も無く使える[ストレージ]から、マジックハンドで核に触れようとする。
本来なら気付けただろうが、何の予備動作も無く突然現れたのだ……無理で当然。
マジックハンドが核に到達したとき──突如として、プールが荒れ狂う。
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